『ピーンポーン』
玄関のチャイムが鳴ったのはレンが『役に立つ人』を呼んでからわずか一分後だった。
「お、やっと来たか。」
レンはそういって一階に下りた。
リンは、レンについて行った
「リンちゃん、大丈夫?!私がついてるから安心して!」
緑の髪のツインテール少女が、ドアが開いたなり叫んだ。
「まったく、どうしたんだ、レン君。」
夏休み(もう終わりだが)にもかかわらず青いマフラーを首に巻いている藍色の髪の青年が後ろから言った。





四人は、二階のリンの部屋に居た。
「――というわけなんだ。」
レンは一通りツインテール少女――ミクとマフラー青年――カイトに話した。ミクが口を開いた。
「それはリンちゃん、あなた自身の責任だよ。少しずつでもいいからやるべきだった。」
ミクの言葉にリンはうつむいた。今は涙目であろう。
「でも・・・少しぐらいなら、手伝うよ。レン君もそのために私たちを呼んだんだし。」
次のミクの言葉に少し、リンは笑った。
「で・も!リンちゃんもやるんだからね。私たちより多い量を。私たちはあくまでも《手伝い》にきてるんだら。」
そういうミクの厳しいところもミクの魅力だ。

と、いうわけで、今はリンの部屋で宿題をやっている。レンが国語、ミクが数学、カイトが世界史、リンがその他をやっている。
レン、ミク、カイトはスラスラと問題を解いていき、リンだけが一つの問題に十五分くらいかけて解くので、リンが一枚のプリントをやっと解き終わる頃にはレン達は五枚解き終わっている。
「皆、早すぎだよぅ。少しくらい休みながらやっていこうよ。」
リンが弱音を吐くと、
「リンちゃんの宿題だろ。これを今日中に終わらせて、放課後に補習にならないようにしたほうがいいと思うよ。」
カイトが汗でべたべたになったマフラーを顔にへばりつかせて言います。
――汗かくなら、マフラー外せばいいのに――
部屋に居るカイト以外の人間がそう思った。
リンは、カイトの言うことが正しいと思ったらしく渋々問題を解き始めた。

「終わった~!」
リンがそう叫んだときにはもう時計の針は午後五時を指しており、三人がとっくに終わらせて合計三十回目のババ抜きが終わった頃だった。
「よかったね、リンちゃん。これで放課後に、残らなくてもすむんだか
ら。」
ミクが微笑みながらそう言った。
「うん、三人ともありがとう。助かったよ!」
リンが満円の笑みで、弾んだ声で言った。
三人は、こういうリンの笑顔を見ると、手伝って良かったな、と思ってしまう。来年も同じことが待っていると知らずに。
そうして夏休みが終わった。


そしてその翌日、つまり学校当日。
宿題提出の日
「リンさん、宿題を提出してください。」
先生に言われ、リンは宿題を出した。
先生は、宿題プリントをジロジロ見て、
「リンさん、あとで事務室に来てください。」
そういった。

休み時間になった。
リンは先生に言われたとうりに事務室に来た。
「どうしました、先生」
「リンさん、宿題ミクさんとレンさんとカイトさんにやってもらったでしょ」
先生が呆れ顔で言った。
「えっ、なんでっ。」
リンは驚いた。
「あのねぇ、私はいつも宿題を見てるのよ。文字で誰が書いたかくらいすぐに分かるわ。それくらいじゃ騙せないわよ。ということで、三人にやってもらった分、放課後にやるように!」
先生の当たり前の言葉に、
「えぇーーーーーーーっ!」
思わず叫んでしまうリンだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

夏の終わりの戦争 下

美里です。ごめんなさい。本当なら一日で終わらせるはずだった話を三日も書いてしまって。土下座します・・・

レンとミクとカイトが可哀想です。私、中学生じゃないので変なとことかあるかも知れませんがそこは見逃してください。

学校が始まったので投稿するペースが遅くなるかもしれません。宿題という魔物が待っているのです。でも、ときどき投稿するので見捨てないでください。
できたら今日探し物の方を投稿するかもしれません。

閲覧数:208

投稿日:2011/08/26 16:55:21

文字数:1,440文字

カテゴリ:小説

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