体は無重力に包まれ、視界に蒼き地表が広がっていた。
ここは高度五万フィートの空。地球から、宇宙へと繋がる場所。
ミサイル型カプセル、ドローンの窓から周囲を見渡すと、そこには俺と同じくドローンに搭乗した仲間、そして、役五百発の空対地ミサイルだ。
これから、この仲間とミサイルと共に、的の重要施設に向けて一気に降下する。世界に類を見ない強襲降下作戦だ。
次の瞬間、俺の体は重力とロケットブースターの加速によって一瞬で音の壁を突き破った。
それによって生じたすさまじい衝撃波が、容赦なく体を締め上げていく。
『イィィィヤッッッフォォォオオオーーーーーーウ!!!』
無線にワラの絶叫が鳴り響く。
これからほんの数人で敵陣に乗り込むというのに、彼女はまるでそれを楽しんでいるようだ。
緊張に縛られない。それは、彼女の長所でもあるかもしれない。
『ねぇねぇミク!!さっきはよくあんなこと言ったね、大胆ーーー!!』
『ああ!!どうしても言っておきたかった!!絶対に還るって!!!』
『ミクだけずるいー!!かえったらキクもぎゅっとしてもらうーーー!!』
『ええ、そうですね!!絶対に還りましょう!!!』
『全く、あんた達これからどこに何しに行くかわかってるの?!』
いや、それは彼女だけではないかもしれないな。
それに、ミクはこの任務のあと、俺達に全てを打ち明けてくれるといっていた。
もはや、疑うものもない。
今の俺がなすべきことは、眼前の敵を退け、己に課せられた任務を全うするだけだ。
『警報!敵施設より多数の高速熱源接近!!迎撃ミサイルと思われます!』
どうやら向こうも歓迎の準備は万端ということか。
セリカの通信が無線に入ると、早速ミサイルの一機が火の手を上げ、はるか上空で爆発した。
『全員散開!ECM作動!!』
『了解!!』
タイトの支持に全員が応答すると、仲間ののるドローンは不規則な回避機動に入った。
それにあわせて電子防御装置を作動させることで、他のミサイルに群がる迎撃ミサイルは、彼女らに見向きもしない。
俺もドローンを操縦桿で操作し、高周波の妨害電波を発信することで迎撃ミサイルの追尾を逃れた。
次第に、肌色の地表が見えてくる。
かつての隕石落下によって、不毛の大地となってしまった、西日本。
そこに、奴らの本拠地がある。
『高度二万フィート到達!着地に備えてください!!』
セリカの無線が聞こえると同時にドローンのロケットブースターが停止、エアブレーキを展開し減速をはじめた。
一万フィートを切り、徐々にパラシュートを作動させる高度に近づいていく。
九千・・・・・・八千・・・・・・七千・・・・・・六千・・・・・・。
『ドローン、離断開始!』
そのとき、今まで俺を包み込んでいたドローンが自動的に分解され、俺達の体は空中に放り出された。
眼下には、広大な鋼鉄のグラウンドがあり、そこでも歓迎の用意がされていた。
まるで、俺達のために用意された闘技場だ。
五千・・・・・・四千・・・・・三千・・・・・・!
『今だ!パラシュート作動!!』
タイトの声が聞こえると同時に、俺はパラシュートのレバーを引いた。
即座にパラシュートが頭上で開き、そのままゆっくりと降下していく。
そのとき俺の真下に、研究所で見たものと同じ戦闘用アンドロイドが現れ、こちらに銃口を向けた。
「くそっ!」
俺はスーツのストレングスモードを作動させてパラシュートのベルトを断ち切ると、即座にアーマーモードに切り替えた。
そして、鋼鉄の床へ両手両膝による着地を決めた。
だが、アンドロイド達の銃口は俺に向けられたままだ。
「ちぃ・・・・・・!!」
そのとき、無数の銃声と共にアンドロイド達の頭部が吹き飛び、その場で炎上した。
振り返ると、そこには重機関銃を片手に持つタイとの姿があった。
「タイト!!」
「すぐに警備の増援が来る!!施設内に急ぐんだ!!」
「ああ!」
言葉を交わしている間にも、大量のアンドロイドが俺達を取り囲んでいく。
「迎撃するぞ!!準備はいいか!!」
タイトが俺の背中に回った。
ここには、隠れる場所もない。
逃げることもできない。
ならば・・・・・・。
俺は両側のレッグホルスターからサブマシンガンを引き抜いた。
「当然だ!!」
俺の叫びに答えるように、敵アンドロイドによる銃撃の大合奏が始まった。
「うぉぉぉぉおおおおおおおおおッッッッッ!!!!!」
「あぁぁぁぁあああああああああッッッッッ!!!!!」
俺達は狂ったように雄叫びを発し、群がる敵に向けひたすら引き金を引いた。
二つの銃口から放たれる弾丸が、次々と敵をなぎ倒していく。
無論こちらも弾丸を浴びせかけられるが、強化されたスーツのアーマーモードが、銃弾から体を護ってくれる。
俺達は被弾することも構わず、ただ敵中を突き抜けていった。
そのとき、俺達を周りを風のような衝撃波が走り、アンドロイドの数体が上半身を吹き飛ばした。
それは残りのアンドロイド全てを空中に巻き上げた。
共に蒼い人影が天空に飛翔すると、その人影が空中で踊りだし、空中のアンドロイドを粉々に砕いていく。
視界にある全ての敵アンドロイドが消滅し、俺達の目の前に青、紫の人影が舞い降りた。
「シク!ヤミも!」
この三人が、あの大量のアンドロイドを一瞬にして排除したのか!
「デルさん。援護します。早く施設の内部へ。」
そう言うヤミの手には、巨大な鎌が握られている。
「分かった。でも、どこにあるのか・・・・・・。」
その瞬間、足元を銃弾が襲った。
あれだけの量を始末したのに、まだあふれ出てくる!!
「きりがないな・・・・・・・!!」
「では、ここは私が護ります。」
言ったのはシクだった。
彼女はボディスーツの踵部分にさらに二丁のハンドガンを装着している。
「しかし・・・・・・シク、いいのか?!」
タイトが心配そうに呼びかけると、彼女はそれまで見せたことのないような、不敵な笑みを浮かべた。
「見ててください♪」
その瞬間、彼女は軽やかな体術を繰り出しながら、グラウンド中央のアンテナに接近していった。
迫りくる弾丸を優美な身のこなしで回避し、その瞬間四股の巨大な銃が火を噴き、敵をなぎ倒していく。
彼女は電波等に向けて大きく飛翔すると、そのアンテナの一本に飛び乗り、アンドロイドたちを見下ろした。
そのとき、彼女の口元からサディスティックな笑みがこぼれた。
「私と遊びたいの?」
そして、最高に官能的な表情でアンドロイドたちに手招きした。
「おいで・・・・・・。」
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