私はチョコミントアイスを買うかエビフライを買うか迷っていた。
実はこういうことだ。チョコミントアイスを買えば、姉の友達のあかりちゃんに食べられてしまった私のデザートが元に戻る。でも、お姉ちゃんと口喧嘩したことがそのままになってしまう。
では、エビフライを買ったらどうなるだろう。見当が付かない。嫌味に思われてしまうかな。そんなのは嫌だ。でも、お姉ちゃんに喜んで欲しい気持ちもある。
最後の結論は午後6時になるまでだ。それ以上の時刻になると別の心配をさせてしまう。
私はかなり迷っていた。
チョコミントアイスを買えば、強情な妹と思われてしまうかも。
エビフライを買えば、遠回しの嫌味な妹に思われてしまうのかな。
いよいよ決断の時がきた。
私はせめて気持ちだけでもお姉ちゃん想いの妹で居たいと想いながら、お惣菜コーナーのエビフライを買った。
帰路について、家の玄関を開けると、お姉ちゃんが泣き腫らした眼をして立っていた。
「あおい~!」
勢いがついたお姉ちゃんに抱きしめられる。
「お姉ちゃんただいま。……エビフライを買ってきたよ」
「ごめんなあおい~」
「ううん。私もごめんね」
互いに謝って今回の喧嘩は呆気なく終わった。
私は心の底からホッとした。
お姉ちゃんは私が買ってきたエビフライを喜んでくれた。
「うまいなあ~あおい」
「そうだね」
私は今日の1日を振り返りながら、想いにふけっていると、視界の端でエビフライの尻尾が私にウインクするみたいに動いた気がした。
「ええ!?」
「どうしたあおい!?」
気のせいだったことにしよう。

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エビフライの尻尾

姉の茜と口喧嘩をしてしまった琴葉葵が仲直りするショート小説です。

スーパーカップのアイスを食べたい。

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投稿日:2024/07/01 22:28:01

文字数:681文字

カテゴリ:小説

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