最近の投稿作品 (27)
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『マネイ・イート!』(初音ミク)
「ありがとうでござる」
フレンドから贈られてきたのは、新品のボカロ『初音ミクV4』だった。
「これは困るでござる」
なにせ拙者は、生粋の生身アイドルのファンである。
アニメや漫画などの女の子など、興味が薄い。
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『とうほくびより!』2/2
それからずんねえさまの料理に舌鼓を打ったあと、私とウナちゃんはぱじゃまになった。
いつもならこの時間は、携帯ゲーム機の時間にしていたが、不思議とやる気にならない。
心地よい疲れが私の体にまわっていた。
そんな折、瞼が閉じかけているところで、カリカリと奇妙な音が聞こえてきた。
ウナちゃんのところからだ。
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『とうほくびより!』1/2
「きりたん、ゲームは一日一時間。お外で遊びなさい」
ゲームに夢中になっていると、ずんねえさまがそんなことを言ってきた。
ずんねえさまは大きな胸の前で腕を組んで、口をへの字に曲げている。
「そんなこと言ってもずんねえさま。外は暑いです」
磨りガラス越しから、ミンミン蝉の歌声が聞こえてきた。
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琴葉茜『お姉ちゃん』2/2
「「ただいまー」」
あ、ハモった。
私は慌てて葵を見る。
葵は素っ気無く別の方向を向いてしまう。
少し嬉しかった。
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琴葉茜『お姉ちゃん』1/2
妹と比べられるのが嫌だった。
葵はなんでもそつなくこなした。
料理も手芸も勉強も、なんでもかんでもそつこなくこなしていた。
でも私は、
料理⇒× 手芸⇒× 勉強も駄目だった。
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弦巻マキ『ぎゅんぎゅん慣らし』後編
「見込み違いでした」
マキはゆかりを正面から見られなくなっていた。
原因は、彼にあった。
あたしのおかげですぐに弾けるようになっていると想っていた。
しかし、彼の挫折は想像以上に深刻だったらしい。
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弦巻マキ『ぎゅんぎゅん慣らし』前編
――ぎゅん……ぎゅんぎゅん
「はぁー」
いまいちノらないギターの音に、弦巻マキはため息をついた。
「マキさん、どうかしたのですか?」
心配そうにマイクを握った結月ゆかりが顔を見てくる。
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鏡音リン(大人リン)『鏡音建設・会長鏡音リン自伝『共鳴』』後編
目の前の一軒家は変哲も無かったのだ。
壊して取り出した材木や壁材も跡形も無くなっていて、工事した後とは思えないような状態だったのだ。
「どういうことなのよ」
これが、先達たちが投げ出した原因なの!?
アタシたちはそれに近づいて触ってみる。
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鏡音リン(大人リン)『鏡音建設・会長鏡音リン自伝『共鳴』』前編
会長を退任するに当たって、易経新聞社から自伝の依頼が来た。
依頼が来た当初は、アタシに自伝なんて大それたことをと思っていた。
しかし……アタシたちの会社――鏡音建設は半世紀を越えて、今世代交代を行おうとしている。世代交代に伴い、社内の改革も始まっている。
それに助言をしていた時に抱いたのは、理念を伝えることの難しさだった。
アタシは次期社長の亞北ネルちゃんや会長の重音テトちゃんに不安があるわけではない。
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雪ミク2018『恋する雪の少女』後編
目を開けると真っ白な天井と薬品の匂いがあった。
ここは病室。
「そうか、そういうことか」
しばらく休養して退院する。
逸る気持ちを抑えて、身体をしっかりと治す、
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雪ミク2018『恋する雪の少女』前編
目の前には大きな赤い鳥居があった。
俺はそれをカメラの射程に入れて、シャッターを切った。
――カシャン
すると、静かな空間に、シャッター音が響き渡る。
ここは、北海道の丹頂神社。丹頂の神様が居る神社だ。
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GUMI『その手で触らないでよ!』
「すすむー! こっちに投げてみろよ」
「はいよー」
俺の名前は箕田すすむ。高校生だ。
今は放課後。友達と帰り道、暇つぶしにキャッチボールをしていた。
今日の肩は調子が良い。
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IA『召喚士イア』(後編)
夜になるのを待って、わたしたちは祭壇へ向かった。
その道中、さまざまな建物を通り抜けて行ったが、どこも静かなものだった。
いいえ、静かすぎた。
活気がある町は、夜も活気があるはず。
それなのにこの町は、人っ子一人もいない。
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IA『召喚士イア』(前編)
「おまえは破門だ!」
「おばあさま! 待ってくださいおばあさま!」
わたしは門を力の限り叩くが、扉の奥にいるおばあさまは返事を返してくれない。
時刻はすでに夜。はやくしないと深夜になってしまう。
「おばあさま! ごめんなさい! 許して! 許して!」
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結月ゆかり(死神)『因果を狩る者たち』
「キヒヒヒヒヒ」
テンションマックスになったゆかり先輩が、背丈を越える刃渡りを持つ鎌をぶん回していく。
風を切る音が周囲に響いた。
それと同時に、金属と金属がぶつかり合う音が響き渡った。
半狂乱になった罪人が銃を乱射しているのだった。
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巫女ミクその4『終りの巫女』後編
夜が深まってから、喫茶店へ入った。
良かった。俺が来ることをわかっていたみたいだ。
俺が喫茶店に入ると、ルカとリン、それと……青年団の服を身にまとった男が居た。
「ヨウイチさん、心配しました」
「今、村中であなたの話題持ちきりよ」