「MEIKOさん。あのねぇ。肝臓の数値が悪くなってるの。わかってますか?」
医者の呆れた声が脳に響きわたった。
「重々承知しています、はい」
ライブ直前になって、健康診断の時に医者に言われたことを思い出していた。
本当ならこのまま禁酒したい。しかしそれは出来そうにもない。
何故なら、お酒の美味しさは耐え難いものだからだ。
ライブの公演時間が迫ってきていた。
目の前にはライブ会場の主催者様が置いたカクテルがあった。私とKAITOに用意されたカクテルだ。
その前で、私は一人煩悶していた。
時間は刻々と過ぎていく。私はどうすれば良いんだ。
このままだとお酒の誘惑に負けそうだ。なんせ、禁酒して1週間だからだ。
周囲が騒ぎ初め出した。
ライブ会場からは、私とKAITOのコールが響く。
そんな私を見てKAITOは、
「はぁ~」
これ見よがしにため息をした。
「カクテル飲まないのか?」
「き、禁酒して1週間なの」
「飲みたいんだろ?」
私は頷く。既に心が折れかけていた。
ライブ会場から地響きのような歓声が響いてくる。ミクとリンとレンが会場をしっかり暖めてくれたらしい。
私は精神を統一するために、耳を潜めた。
「カクテル! カクテル! カクテル!」
あ、あいつら。
「ノーメ! ノーメ! ノーメ!」
意味を理解した時、私は決めた。
私はカクテルを一気に飲み干す。
さらにKAITOの分を奪い取った。
「行くよ」
KAITOが頷いた。
私はカクテルを持って会場に出た。
そして開口一番、
「今日から禁酒は終わり!」
カクテルをさらに呑み込んだ。
「わ~~~!」
ミクたちにウインクする。
そして客席に聞こえないように口パクである言葉を伝えた。
「お・し・お・き」
真っ青な顔をしたミクたちが舞台の袖に入っていく。
軽快な音楽が会場に流れ始めた。
楽しいパーティーの始まりね。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

禁酒? なにそれ美味しいの?

MEIKOが禁酒を止める話。ショート小説。

なんとなくだけど、小説の書き方がほんの少しわかってきたかも。
これからも精進したい。

閲覧数:45

投稿日:2024/07/03 22:04:12

文字数:816文字

カテゴリ:小説

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