妖精界のマスコット国を飛び出した僕は、ついにさまざまな修行を経て、人間界でマスコットになる機会を得た。順番はすぐそこに迫っていた。
僕は小さな光だ。妖精がマスコットになる分化前の光の粒である。
僕は今から誰のマスコットになるかが決まる。
候補は2人だ。
清楚なストレートの緑髪の美少女なら天国。オレンジ色のショートの美少女は地獄。
実はこういうことだ。
清楚な緑髪の美少女は弓道着を着て、静かに読書をしていた。不安な要素はなんか無い。優良物件である。
しかし一方でオレンジの美少女は、テーブルの唐揚げを食べては何かを叫んでいる。なぜに? どこに叫ぶ要素がある。もしこの子になったら、サポートの仕事が大変になりそうな予感がする。
僕は清楚な子のマスコットになりたい。
そんなことを考えているうちに、ついに派遣される時が来た。
審判の時だ。心のドキドキが止まらない。
結果はこうだった。
「あのずん子さんのところへ行きなさい」
長老が告げた。
「いってきまーす」
僕は長老に別れを告げて、次元の裂け目に飛び込んだ。
僕にどんな名前が付くかな。楽しみだな。
読書している女の子の前に飛び出る。すると同時に身体が熱くなってきた。
分化が始まった。
「やあ、僕は」
その時、天啓が来た。
「ず……ずんだもんなのだ!」
僕の身体は緑と白のカラーリングの小さな生物になっていた。
「キャー、かわいいいい!」
ずん子さんに抱きしめられる。
「私の願いが叶ったのね!」
願い? え?
すると彼女は僕は離して、本をカバンにしまった。代わりに、大量のずんだ餅をカバンから取り出していく。
「ずんだ餅の妖精が私のところに来るなんて!」
カバンのどこにこれだけ入っていたかワカラナイずんだ餅がテーブルに並べられていく。
なにこれ怖い。
清楚な子で、天国のはずだよな?
僕は再度彼女に抱きしめられながら、一抹の不安を感じるのだった。
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