朝早くから幾徒に電話で叩き起こされ、若干眠い頭で集合場所に立っていた。まだ辺りは薄暗く人もまばらだ。

「一体何~?ヤクルちゃんまだ眠いんだけど…。」
「私も何が何だか…当の幾徒さんは?」

欠伸交じりに話しているし、皆事情は特に聞かされていないらしい、と、聞き慣れた声が耳に飛び込んで来た。

「蕕音流船?何故お前が此処に居る?」
「こっちの台詞だよ、悪いけどお前と遊んでる暇は…。」
「ハッ!悪いが俺は知り合いに頼まれて此処に重大な任務をしに来たんだ。お前と一緒にするな。
 残念ながら兄さんは眠いと言って来れなかったから俺が一人で…。」
「菖蒲先輩?お早うございます。」
「ぬ?!蛟音さん…!こ、この様な早朝から何故蕕音と…!ま、まさかこの女子の様な外見に
 騙されてロクでもない目に遭わされて引っ張り回されたのでは?!蛟音さん大丈夫ですか?!」
「きゃっ?!あ、あの…先輩…?!」
「聖螺に触るな。」

呆れ半分に見ていたゼロが菖蒲の手をぺしぺしと払った。そう言えばこの二人どうなったんだろう?色々手一杯で聞いてなかったけど…。

「レイさん、あの二人付き合ってるんですか?」
「さぁ…私も流石に『押し倒した?』とは聞けないから…。」
「そこ、生々しい。」
「付き合って…?押し倒して…?貴様何て事を―――!!!」
「何で俺に怒る?!」
「…あの男は何か強そうだから…。」
「煩いなぁ、もぉー!あんまんあげるから黙っててよ。」
「どこからあんまん…もがもがもが?!」

遠足の集合場所みたいになって来たな…なんて考えてると車の音と共に漸く幾徒が来た。手にはノートPCと何かしらの機材が見える。

「悪い、遅くなった…何してんだ?お前等、あんまんで殺人か?」
「幾徒さん、物騒です。」
「冗談はさて置き、鈴々、彼俺が呼んだからまだ殺さないで。星君、此処の扉開けて。」
「もが、もごもご…ぷはっ…!…良いんですか?」
「良いよ、関係者だから。」
「解りました…。」

あんまんを食いつつ菖蒲が廃ビルの中に入った。昔潰れたカラオケボックスだろうか?ホコリだらけの奥の奥に進んだ所に、小さなドアがあった。

「何此処?地下室?」
「そんな様な物です…あ、皆さん少しの間喋らないで…えっと、これか。」
「…ピピッ…暗証コードヲ復唱シテ下サイ」
「…コード?」
「しっ…!」
「16秒間ノ沈黙確認。暗証コードOKデス、ロック解除」

ホコリを立てながらドアが開いた。そしてドアが開くと共にギョッとする空間が広がっていた。電気屋みたいに立ち並ぶ液晶と網の様に張り巡らされたケーブルがまるで樹みたいに積み上がっている。

「うわ?!何これ?!FBI?!」
「違法だろ、これ…PCタワー?」
「何か壁に書いてあるよ?ほら…。」

『We wish to express our gratitude for the sky, the apple, and the miracle!』

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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コトダマシ-93.あんまんで殺人-

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よく見ると一人呼ばれてない、だーれだ?

閲覧数:92

投稿日:2011/03/23 10:49:19

文字数:1,235文字

カテゴリ:小説

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