この想いが実を結ぶ事なんて、無くても良いのです。
私はただ、貴方の幸福を願う巫女で在れれば良いのだから。

病の床の貴方。
寒気すら感じる白い病室に居る貴方は、まるで儚い枯れかけの花。

嗚呼。
無理をして起き上がって、私を心配させないように微笑んでくださる。
一番辛いのは貴方と分かっていても、涙が止まらなくなる。

辛さも悲しさも隠さないで欲しいけれど、私には痛みを分かち合う資格なんてないのですね。
痛みを和らげられるわけでもなく、貴方の心配を煽ってしまうだけ。
駄目な私。
貴方がまた明るく笑えるようにと、祈る事しか才が無いだなんて。

『そんな事無い』
ゆっくりと私の髪を撫でるそのお手の、なんと優しき事でしょうか。
病に侵されても、無機質な白さが染み付いてしまっていても。
貴方はやはり、優しいお方なのですね…

赤子を宥めるように、愛しむように。
貴方が誘うまま、私は微睡みの世界へと歩んでいく。

世にも素敵な夢物語を見せてくださる貴方は、まるで詩人のごとく。
優しいそのお声は、子守歌のように自然と私の心に落ちてゆくのでした。

願いましょう祈りましょう。
いつか私と二人で明けの藍空が見たいと仰った、貴方の御為に…

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巫女の祈祷

夏ですね。暑いですね。私のような変人がわく、そんな季節ですね。
あー…中二病+5月病(もう過ぎてるのに)発症中な楽音イオでした(/_;)

閲覧数:163

投稿日:2010/09/04 20:25:44

文字数:517文字

カテゴリ:小説

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