この想いが実を結ぶ事なんて、無くても良いのです。
私はただ、貴方の幸福を願う巫女で在れれば良いのだから。
病の床の貴方。
寒気すら感じる白い病室に居る貴方は、まるで儚い枯れかけの花。
嗚呼。
無理をして起き上がって、私を心配させないように微笑んでくださる。
一番辛いのは貴方と分かっていても、涙が止まらなくなる。
辛さも悲しさも隠さないで欲しいけれど、私には痛みを分かち合う資格なんてないのですね。
痛みを和らげられるわけでもなく、貴方の心配を煽ってしまうだけ。
駄目な私。
貴方がまた明るく笑えるようにと、祈る事しか才が無いだなんて。
『そんな事無い』
ゆっくりと私の髪を撫でるそのお手の、なんと優しき事でしょうか。
病に侵されても、無機質な白さが染み付いてしまっていても。
貴方はやはり、優しいお方なのですね…
赤子を宥めるように、愛しむように。
貴方が誘うまま、私は微睡みの世界へと歩んでいく。
世にも素敵な夢物語を見せてくださる貴方は、まるで詩人のごとく。
優しいそのお声は、子守歌のように自然と私の心に落ちてゆくのでした。
願いましょう祈りましょう。
いつか私と二人で明けの藍空が見たいと仰った、貴方の御為に…
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想