#「恐怖の時間」



かなりあ荘の管理人しるる

基本的におかしい人ではあるが、この日はさらにおかしかった



いつも通り、かなりあ荘に帰ってきたと思ったら、リビングにいたイズミ、つかさ、雪りんごをみつけて、ゆらりと近づくしるる


「ふふ……みんなぁ?しもべに召使い、下僕、それかペットや奴隷……好きなものを選ばせてあ・げ・る」


不敵に黒く笑うしるる


「……ど、どうしたんですか、しるるさん」


イズミが他の二人の前に出て、しるるに近づく


「ふふん、どうもしないよ?さぁ、イズミさん、私の何になってくれますか?」


しるるが不気味に笑っている


「も、もしかして、しるるさん、酔ってたりしますか?」


雪りんごがイズミの後ろで、ちょっと……結構、引き気味にいった


「酔ってないよ?私、お酒、飲んでないもの」

「で、でも……しるねえさん、いつもとなんか違います」


ソファの陰から、つかさが顔だけ出している


「おいで、つかさくん……さぁ」


そういって、つかさの方にゆらりと接近するしるる

つかさは思わずソファの陰に隠れる


「しるるさん!やめてください!何してるんですか!つかさん、怖がってるじゃないですか!」


イズミがしるるの腕をつかんで止める


「んー?あ、イズミさん……やきもちですか?」

「ち、違います!」


少し顔を赤らめて、手を放すイズミ


「安心してください、私はみんな、平等に可愛がってあげますから」


そういって、しるるの魔の手がイズミに迫る

しかし、次の瞬間、その手をバシッと強く誰かがつかむ


「しるるさん、いい加減にしてください。これ以上は付き合いきれませんよ」


それは真剣な顔つきをした雪りんごだった


「もう、怖い顔しないで。笑ってた方がかわいいよ」


にへらと笑うしるるに対して、雪りんごはそのまま睨む




『……りんご?なーに、その目は?……私に文句あるの?』



しるるのその言葉にその場にいる誰もが驚いた

しるるの顔は笑っているのに、目が笑ってない

あまりの迫力に雪りんごは手を放す


「どうしたんですか!しるねえさん!」


つかさが叫ぶ


「ふふ……別にいつも通りでしょう?」


しるるはそういうが、明らかにいつもと違う


「で?……りんごはー、私に文句があるみたいなんだけどー」

「い、いえ……別にそういうわけじゃ……」


しるるの不気味な笑顔の前に、完全に怖気づいてしまった三人


「さぁ、三人とも、こっちにおいで?私が、可愛がってあげる」


そういいつつ、三人のもとに一歩、また一歩と近づく

三人も固まりながら、一歩ずつ後退する

が、遂に三人は壁際に追い込まれた


二人を守るイズミの後ろで、雪りんごとつかさが震えている




「大丈夫……怖くないから」


しるるの魔の手がのびる

三人が目をつぶる








「ストップ!しるるさんっ!」


突然の背後からの男性の声にピタッと止まるしるる


「なんですか、ターンドッグさん」


しるるは、機嫌悪そうにゆらりと体を反転させて、声の主ターンドッグをみた

ターンドッグは階段から降りてくる


「なにやってr…………はぁ馬鹿やってないで早く寝てください、風邪ひいてるんでしょう?」


ターンドッグの言葉に女の子三人は「え?!」と声をあげた


「ねえさん、風邪なんですか?」


つかさがターンドッグにたずねる

ターンドッグは、それにだまってうなずくとしるるに近づいて、しるるのおでこに手を当てる


「ほら……熱もかなりあるじゃないですか。早く自分の部屋に行きますよ」


そういうと急にぐでっとなったしるるの肩をかかえて、部屋につれていった









しばらくして、リビングにターンドッグが戻ってきた


「あ、ターンドッグさん、しるるさんは?」


その姿をみつけた雪りんごが話しかける


「とりあえず薬を飲ませて横にしてきた。男の俺が看病するわけにもいかないだろうし」

「じゃ、私がいってきます!」


イズミさんが立ち上がって、しるるの部屋に行こうとする


「ああ、待って!大丈夫だよ。清花ちゃんに任せてあるから。清花ちゃんなら、風邪がうつらないし、彼女も了承してくれたよ」

「で、でも……」

「もし、イズミさんたちが看病しにいって、風邪うつっちゃったら、しるるさんも気にしちゃうだろうから」


イズミは納得して戻ってきた


「でも、よくわかりましたね?僕たちがピンチで、ねえさんが風邪ひいてるって」


つかさはターンドッグを感心してみた


「え?ああ。つかさくんたちがピンチだって、教えてくれたのは、清花ちゃんだよ」

「清花ちゃん?」

「うん、なぜか、俺の部屋のカーテンをシャーシャーしまくってて、何事かとシルルスコープつかったら……「雪りんごさんたちが大変です!」って」


なるほどと雪りんごはうなずく


「じゃ、しるるさんが風邪だっていうのも、清花ちゃんって子が?」


イズミとつかさは一度も清花ちゃんを見たことがない


「いやそれは、しるるさんの目を見てかな?」

「目?」

「明らかにいつもの目じゃなかったし、焦点があってなかったからね……最初は「遂に本当に女の子たちに手を出そう」としているのかと思ったけど」


笑いながらターンドッグはそういった


「へぇ、すごい観察力ですね?」

「ま、かなりあ荘の中で一番、しるるさんと付き合いがながいからね」


そう自慢げに笑った




こうして、かなりあ荘における、恐怖の時間は、いざという時の頼りになる男の活躍により、被害を出さずに収束した


後日、しるるは、この出来事を全く覚えていなかったという

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【かなりあ荘】恐怖の時間

今回は比較的に真面目に書きました
くぁわいいつかさくん
責任感のイズミさん
基本的に私がかわいいと言うと、引かれている印象のりんご
優しい清花ちゃん
清花ちゃん、人に知らせる時はカーテンつかいます←
そして、いつも不運な立ち回りのターンドッグさん
今回は活躍しましたねーw
ますますカイトポジション定着←

本当はこんな感じでちずさんあたりを服従させたかったのよ?w
どう?私についてくる?←

三人称視点なのは、しるるはこの出来事を知らないから

ちなみに私は風邪はあまりひきません……馬鹿だから

閲覧数:119

投稿日:2014/03/19 20:17:13

文字数:2,415文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • ゆるりー

    ゆるりー

    ご意見・ご感想

    一瞬悪霊がとり憑いているのかと思ってしまいましたw
    風邪って!w

    あ、ちなみに私、風邪ひいてます。
    声が出ない以外は通常です。

    ターンドッグさんかっこいい!!!!!
    凄くかっこいい!!!!!

    というか、私はいないんですね?
    なあんだ、チョーク投げまくったり投げ飛ばしたりできたのn…げふんげふん。

    とりあえず、しるるさんは怖かった。
    さすが管理人…((((;゜Д゜)))))))

    2014/03/19 21:33:37

    • しるる

      しるる

      実はそれも考えたw
      さすが、ゆるりーさん!

      声が出ない……じゃ、話しかける時、服のはしっこをくいって引っ張ってくれるってことじゃないですか!かわいい!!

      ゆるりーさんは前回に出しましたからね
      それに今回はターンドッグさんの出番が見どころですからw

      あら?怖くないですよーw ね?

      2014/03/19 22:05:16

  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    声を大にして言おう。

    誰  だ  お  前  !!!

    こんなカリスマの溢れてるTurndogは俺じゃない!www
    きっとカイト辺りが化けてるんだそうに違いない!www

    いや、実際にこの状況にあったら確かにしるるさん止めて引きずってくと思うけどさ!
    それにしたってカリスマが溢れ出てるな!w

    がんばる清花ちゃん可愛い。
    そしてしるるさんのために奔走する清花ちゃんマジ幼妻(こら!

    2014/03/19 21:14:42

    • しるる

      しるる

      とかいって、照れてるんですね、わかります

      「かなりあ荘の中で一番、ターンドッグさんと付き合いがながいからね」←

      2014/03/19 21:25:17

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