~五番目~
ピンクの髪の女はスッと目をひらいた。彼女の目の前には小さな女の子と髪の黄色い女の人が立っています。
「……今までのアリスっていうのを見せてもらったけど、どの人もあれね、急に我を失っているわ。」
ピンクの髪の女は紙の黄色い女性にいう。
「で、次は私がアリスに選ばれた。これであっているのよね?」
「えぇ、そう。あなたは次のアリスに選ばれた。さぁ、目をもう一度つむって……そして自分の理想の国を作り上げなさい。次に目を開く場所はその場所になっているわ……」
黄の髪の女性は不気味に笑う。
ピンクの髪の女は眼を閉じる。
気持ち悪い感触に背中をゾッとさせる。まるで、空間がゆがむような……。
「では、楽しんできてください、そして、アリスに――――――――――――さい……ルカさん。」
黄の髪の女の声が遠くで聞こえたり近くで聞こえたりする。
そして、気持ち悪い感触がなくなると、
「バイバイ、頑張ってね、ルカさん!」
小さな女の子の声が遠くで聞こえた。ピンクの髪の女、ルカはスッと目をひらいた。
(私、あの方たちに名前なんていったかしら?)
そう思いながら自分の周りを見渡す。
彼女の思い描いた世界は……――――――美しさ、ただそれだけを求める世界。
町の物はまるで彫刻のようなつくり、人々の服は彼女の住んでいた世界の服ではない。
何もかもが美しい。人も物も何もかも。
「さて、まずは何をしようかしら?そうねぇ、二番目アリスのように歌を歌いながら、街を歩き回りうかしら?」
そして彼女は歌う、始まりの歌を―――。
彼女は街を歩く。ふと気がつくとルカの後ろにはたくさんの人々。彼女の声に魅力され付いてきたのだろう。
ルカは、足を止めその場で踊りだす。
何時間がたっただろうか?ルカは休憩がてらに小さな木陰に移動した。
「あ…あの!」
ピンクの髪に帽子をかぶった女の子が話しかけてきた。
「?」
女の子は何か言いにくそうにもじもじとする。
「……一緒に歌う?」
「!何でわかったの?」
女の子は驚いた顔をする。
「なんとなく……ね?当たるとは思わなかったわ」
(っていうのは嘘でただあなたの心を読んだだけだけどね?)
女の子は大きく首を縦に振ると
「私は皆から桃って呼ばれてるの。お姉さんは?」
「私はルカよ。さ、行きましょう。」
ルカは桃の手を取っていう。
「ここら辺で人が集まるいい場所に案内してくださる?そこで歌いましょう。」
桃はうなずいた。
「フゥ」
ルカは何曲歌ったのだろうか?やっと、一息ついた。
「ルカさん楽しかったね。また一緒に歌いましょ。」
桃はそう言うとどこかえ行ってしまった。いや、帰ったというべきであろう。日はすでに沈み、月がてっぺんまで上っている。
「星が…奇麗。」
ルカは自然と涙を流していた。
「うぅ、がくぽ…がくぽ…あなたと一緒にこの星が見たかった……」
彼女のかつての愛人、がくぽ。彼は、ルカの世界では亡くなってしまったのだ。
「私が素直のなれなかったせいで……」
スッと、彼女の背後に誰かが寄り添う。
「あなたがルカさんですか?」
声は男の人のようだ。
「えぇ、そうですが。」
ルカは涙を拭いていう。
「私は城のものです。街で美しい歌声を披露する娘がいると聞いて王様にお連れになるように言われました。」
「私がですか?」
「はい、来ていただけますでしょうか?」
男性はルカに手を差し出す。気付かないうちにその手の上にルカの手をのせていた。
城は三番目のアリスのものとよく似ていた。
「王様、お連れしました。」
男性は、ある扉の前で言う。
「おぉ、連れてきたか、はいりたまえ。」
部屋の中は玉座であり玉座には…顔を隠した王様の姿があった。
「トニオは下がってよい。」
トニオという男性はルカの背後を去ってゆく。
このとき、ルカはふと思ったことがあった。
(この声、誰かに似ている………)
「早速だが、主の名はなんと申す?」
「ルカ…と申します。」
少しためらいながらも言う。
「そう固くならんでもよい。ルカ殿、せっかくだ。我のために一曲歌ってくれぬか?」
(口調も、やっぱり似ている…)
「わかりました。…スゥ…―――」
彼女は歌う。愛しかった、かつて愛した人に初めて歌った曲。
彼女の歌が終わると同時に、拍手が一つ。
「その歌は確か―――だったよな?」
「!?」
この歌はルカががくぽのために作った曲であった。だからこの曲の名を知る者はルカとがくぽ以外にはいない。
「そう焦るでない。我だ我。覚えておらぬのか?」
そう言い、王様は顔を隠してあったものをどけた。
紫の長く美しい髪が舞いおり、まるで女性を連想させるような美しい男がいた。とても王様などには見えない。
だが、その顔はルカが見たことのある顔、愛した人の顔、がくぽの顔。けっして彼女が間違えるはずがない。
「が…くぽ?」
あまりにも突然すぎて、声がうまく出せない。
「我以外に誰がおる?」
彼女の目の前にいる男、そいつは悪戯っ子のように微笑む。それは紛れもないがくぽであった。
「……ぽ……がくぽぉ……!」
ルカはがくぽに抱きついた。
「本当にがくぽなの?」
ルカはがくぽの目を見て言う。がくぽはうなずくと、
「一人にさせてすまなかった。」
と、ルカを強く抱きしめた。ルカの目からは大量の涙があふれ流れていた。
何分が経ったであろうか。がくぽが口を開いた。
「ルカ、この国の女王にならないか?」
「!わ、私でいいんならやって差し上げてもいいわよ?」
と、顔を向こうに向ける。
「…やはりルカはツンデレだな。」
「うぅ。」
ルカは顔を赤く染めた。
幾月が流れただろうか、ルカが女王になったことによりこの国の戦力は格段と上がり、たくさんの国を支配していった。
「がくぽ。」
ルカは木陰でたたずむ男に言う。否、それは男でなく、女であった。
「あなたは!」
それは、黄の髪の女。ルカをこの国に連れてきた女。
「フフ、私はリリィよ。」
「あの、ありがとうございます!またがくぽに合わせてくれて。」
ルカは深々と頭を下げた。
「私は何もしてないわ。それはあなたが望んで作り上げた世界なのだから。」
「?」
ルカは頭をかしげた。
ルカの服の裾を引っ張る者がいる。その方向に顔を向けると髪を二つくくりにした小学生を思わせる女の子がいた。
「お姉さんは、アリスになってくれたの?」
と質問してくる。
「あぁ、そのことなんだけどね、実は…私、アリスになんかなりたくないのよね。」
ルカはかすかに微笑み、
「ここに連れて来てくれたことは感謝してるわ。でも、アリスにはなる気はない。」
「どうして?」
女の子はかすかに首を傾ける。
「……そう。」
リリィはルカに背を向ける。
「わかってくれたのね?」
ルカは言う。
「ユキちゃん、行くわよ。」
「え!あ……うん。」
リリィはユキという女の子の手をとり言う。
「…ぁあ、言い忘れてたけど、あなたはこの国からはもう出れないわ。」
「?私はこの国から出るつもりはないけれど?」
ルカは首を傾けるばかりだった。
暗闇で、小さな夢を引き連れた、リリィという名の夢が歩いていた。
「ねぇねぇ、いいの?あのままで?」
小さな夢が聞く。
「大丈夫よ。さて、あの人の最後を見に行きましょうか?」
リリィという夢は不気味に微笑んだ。
あれから幾月が流れただろうか。
ルカは、この国へ連れて来てくれた二人に会った木陰に向かう。
(この国からは出れないという意味はどういうことなのかしら?)
あの木陰に向かうとまた二人に会えるような気がしたのだ。だから向う。
木陰には誰かが立っていた。
「誰?」
ルカが尋ねる。
「やぁ、待っていたよルカ。」
木陰にいたのはがくぽ。
「どうしたの?こんな時間に?」
ルカはがくぽのところへ歩み寄る。
「迎えに来たんだ。」
がくぽの顔は……見えない。
「そうね、では帰りましょうか?」
「帰るってどこへでござる?」
「城へ………でしょう?」
ルカは疑問に思いながらもがくぽに言う。
「ルカ、帰る場所はないぞ。」
月の光が、がくぽは顔を照らす。
「ひッ!」
月の光によって照らされたがくぽの顔は、赤く染まっていた。
それは、彼女が元いた世界でのがくぽの最後の顔。事故にあい、亡くなった彼の血まみれの顔だった。
ルカは逃げ出した。
「助けて!殺される!」
そして必死に叫んだ。
しかし、周りの人は見て見ぬふり。
走る、走る、叫ぶ、走る…………。
何かに躓き、彼女はこける。
スッと、目の前に小さな子供の足が目に入った。
「…た……助けて…っ!」
彼女が顔をあげるとそこには、ユキ、という名の女の子が立っていた。
「う~んと、五番目アリスは美しく、すべてを知って不思議の国。いろんなものを生み出して、望みの世界を作り上げた。そんなアリスは…」
「ユキちゃん、そんな歌、造らなくてもいいわ。」
ユキがルカの声で歌っていたのを止めるリリィ。
「さ、帰るわよ。…さよなら、五番目アリス。良い夢を…――――――。」
すると、二人の姿は、存在していなかったかのように――消えた――。
ザッと足音がする。
「なぜ逃げるんだい?」
がくぽが歩み寄る。
「い…や……嫌」
がくぽはルカの手を取る。
「さぁ、参ろうか?」
「い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
このルカの叫び声は、誰の耳にも届かなかったという。
コメント1
関連する動画0
オススメ作品
眠い夢見のホロスコープ
君の星座が覗いているよ
天を仰ぎながら眠りに消える
ゆっくり進む星々とこれから
占いながら見据えて外宇宙
眠りの先のカレイドスコープ
君が姿見 覗いてみれば
光の向こうの億年 見据えて
限りなく進む夢々とこれから
廻りながら感じて内宇宙...天体スコープ

Re:sui
勘違いばかりしていたそんなのまぁなんでもいいや
今時の曲は好きじゃない今どきのことはわからない
若者ってひとくくりは好きじゃない
自分はみんなみたいにならないそんな意地だけ張って辿り着いた先は1人ただここにいた。
後ろにはなにもない。前ならえの先に
僕らなにができるんだい
教えてくれよ
誰も助けてく...境地

鈴宮ももこ
それは、月の綺麗な夜。
深い森の奥。
それは、暗闇に包まれている。
その森は、道が入り組んでいる。
道に迷いやすいのだ。
その森に入った者は、どういうことか帰ってくることはない。
その理由は、さだかではない。
その森の奥に、ある村の娘が迷い込んだ。
「どうすれば、いいんだろう」
その娘の手には、色あ...Bad ∞ End ∞ Night 1【自己解釈】

ゆるりー
ミ「ふわぁぁ(あくび)。グミちゃ〜ん、おはよぉ……。あれ?グミちゃん?おーいグミちゃん?どこ行ったん……ん?置き手紙?と家の鍵?」
ミクちゃんへ
用事があるから先にミクちゃんの家に行ってます。朝ごはんもこっちで用意してるから、起きたらこっちにきてね。
GUMIより
ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)

漆黒の王子
Hello there!! ^-^
I am new to piapro and I would gladly appreciate if you hit the subscribe button on my YouTube channel!
Thank you for supporting me...Introduction

ファントムP
そうさ!
みんなの歌声を届けに行こう
夢の中を巡って
誰かの声が響いてる
僕を誘う夢の続き
まじかるな明日の夢を見ている
きっと、響く歌声が創っていくよ
そっと目を閉じて…
瞳の奥のミライのトビラ
跳ね開けて走りだしていく...ミライのトビラ

DannyAndCricket
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
ゆるりー
ご意見・ご感想
初めまして!
ご…五番目アリスですとぉぉぉ!?
…と叫びそうになりましたw
そして五番目アリスの歌詞の続きがすごく気になります←
とても素晴らしかったです!続きを楽しみにしてます!
2011/08/08 15:29:51
あき
うわー!!読んでくれてる人が少なからずいる!!やばい、マジで泣けてきた・・・がんばって早く更新します!楽しみにしててw
2011/08/09 17:43:07