不意に落ちる雪の声
満ちる静寂 壊さぬように
濃墨(こずみ)の満たす森に融け
一羽 佇むその鶴は
明けぬ紫紺の空見上げ、
行く先 何処(いずこ)と目を眇(すが)む
遠い遠い 夜神楽の
お囃子の音(ね)は山に消え、
遠い遠い 星々は
瞬きにより呼応する
潜めよ吐息
委ねよ鼓動(こころ)
時をも止める 雪世界
今暫くの 雪世界
生きとし生けるものたちの
恐れを預かる静謐よ
永久(とわ)を思うこの寒夜(かんや)
せめて僅かを照らさんと
冴える星影、銀花は纏い
闇に惑う その鶴は
灯る明かりに胸おろし
導(しるべ)を待たんと目を閉じる
深い深い 安寧を
齎(もたら)し夜は更けてゆく
深い深い 沈黙は
全てを癒すためのもの
潜めよ吐息
委ねよ鼓動(こころ)
大気の凍る 雪世界
今暫くの 雪世界
生きとし生けるものたちの
心安らぐ静寂よ
やがて 巡り、
やがて 巡る
いつか眠りが覚めるよに
いつか眠りは覚めるよに
鶴は発つ
名残を惜しむ銀花は散りて
風は吹く
松葉に咲いた氷花と共に
次第に薄れる星影偲び、
紫紺の白む東雲(しののめ)を
そして、朝陽は昇る
【ひらがな】
ふいに おちる ゆきのこえ
みちるせいじゃく こわさぬように
こずみの みたすもりに とけ
いちわ たたずむ そのつるは
あけぬ しこんのそら みあげ、
ゆくさき いずこと めをすがむ
とおいとおい よかぐらの
おはやしの ねは やまにきえ、
とおいとおい ほしぼしは
またたきにより こおうする
ひそめよ といき
ゆだねよ こころ
ときをも とめる ゆきせかい
いましばらくの ゆきせかい
いきとし いけるものたちの
おそれを あずかる せいひつよ
とわをおもう このかんや
せめて わずかを てらさんと
さえるほしかげ、ぎんかは まとい
やみに まどう そのつるは
ともる あかりに むねおろし
しるべをまたんと めをとじる
ふかいふかい あんねいを
もたらし よるは ふけてゆく
ふかいふかい ちんもくは
すべてを いやすためのもの
ひそめよ といき
ゆだねよ こころ
たいきのこおる ゆきせかい
いましばらくの ゆきせかい
いきとし いけるものたちの
こころやすらぐ せいじゃくよ
やがて めぐり、
やがて めぐる
いつか ねむりが さめるよに
いつか ねむりは さめるよに
つるは たつ
なごりをおしむ ぎんかは ちりて
かぜは ふく
まつばにさいた ひょうかと ともに
しだいに うすれる ほしかげしのび、
しこんのしらむ しののめを
そして、あさひは のぼる
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