暗い。
とっても暗い…。
どこを見たって闇。
「ん…」
意識が段々はっきりすると共に頭に鈍い痛みが思い出したかのようにジワジワと広がっていくのが分かる。
ゆっくりと体を起こす。
「ここ…」
辺りを見渡すと見覚えのある部屋だった。
「私…確か登校してて…レン君を見つけたから声をかけようと…」
その後からの記憶がない。
「…なんで思い出せないの?」
鈍い痛みに邪魔され思い出せない。
「ナナ…」
「!?」
ナナは背後から優しく抱き締められ硬直する。
「…帯人?」
ゆっくりと名前を呼ぶ。
しかし、声は震えていた。
「俺が怖い…?」
「…」
ナナは俯き黙る。
「だって…」
ここは、ナナの兄が帯人によって消えてしまった場所なのだから。
ナナは泣き叫びながら一部始終見ていた。
「ここは…帯人がレンカ兄を…」
それ以上言えなかった。
口に出すのが怖いのだ。
「…」
クスリと笑った。
―――ような気がした。
「レンカが悪いんだよ?俺の忠告を無視したんだから」
帯人は怪しく目を光らせる。
「やっ!?」
いきなり床に叩き付けられるように倒される。
「な…に…?」
あっという間に馬乗りされる。
「ナナは誰の物だと思う?」
冷たい視線がナナの恐怖心を煽る。
「ヤダ…ヤメテ…」
ナナは我慢できずに涙を溢す。
「レン君…っ」
「っ!」
ナナの口から出たのは大嫌いな双子の片割れの名前だった。
憎すぎて憎すぎて消したアイツに良く似たあの少年の名前。
自分ではもう制御出来そうになかった。
「うっ!!?」
勢い良く首を絞められる。
「あんな奴の名前じゃなくて俺の名前を呼んでよ…」
帯人ではない何かは顔を歪ませる。
「帯…人…ぉ」
ナナの声は空気に紛れてすぐに消えてしまった。
(このままじゃ私…レンカ兄と同じに…)
段々意識が遠退いて行く。
帯人の手首を握っていたナナの手から力が抜けていく。
「ナナ!」
「…?」
勢い良く扉が開いた。
「…霧音シン」
帯人は冷たく言い放つ。
「…しー、く…ん」
ナナはゆっくりと視線をシンに向ける。
「お前はまた!!」
シンは帯人に勢い良く飛びかかる。
帯人は床に叩き付けられる。
「ごほっげほげほっ!!」
帯人の大きな手がナナの首から離れた瞬間空気が入って来た。
あまりにも苦しくて噎せる。
肩で息をしながらシンと帯人を見る。
「お前…レンカみたいにナナを!」
シンは帯人の襟を掴む。
「…」
帯人は虚ろな目をシンに向け、唇を吊り上げる。
「しー君!」
ナナは二人に向かって走り出す。
「…ナナ?」
シンはナナにきつく抱き締められていた。
顔には鉄臭くて生暖かい何かがベトリとつく。
「サイッテー!」
ナナは振り向くと帯人を殴り飛ばした。
「っ!」
ナナは左肩を押さえてしゃがみ込む。
「ナナ…」
「大丈夫。平気だよ」
ナナは微笑む。
するとバタバタと数人の足音が響く。
「ナナ!シン!大丈夫!?」
ルカが勢い良く入ってくる。
「…ルカ姉」
帯人はルカからの長い長い説教を受けて、ナナは主治医である梓から治療を受けた。
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