見聞しもの總てが事新しかつた
彼の日頬を撫ぜた風の如く
視へずともあたゝかな心地に包れた
長き冬も明けたやうに

はじまりは何時とは無しに訪れて
高じたる思慕は戀慕の情と相半
緊張と共に吸ひ込んだ部屋の香も
此の頃は愛おしく

巷間に溢る詠人知ずの
歌が如く搖れるもの
千變萬化色語
茜さす音繁く

再三指南されし筆順が擦れず
眇たる氣の迷ひとは覺れど
字引に當らずとも思ひ半に過ぐ
蓋し一塲の春夢

同じとき同じものを眺めれど
何も變る筈無き事言を俟たず
ゆくりなく絡む視線に意味等無い
傍が無性に淋し

戱れ交りの强がりが
日增しに憂き思ひを帶びれば
窮途末路の色語
畢竟繕へぬなら

口にしなくともよい言葉を紡ぎて
聞かずともよい言葉を聞かば
本の幾許かだけ樂になれるだらうか
夏雨人に雨らすやうに

置去る事の出來ぬ影法師だけは
餘さず觀ていた大禍時も
牴牾しささんざめく事ノベツ幕無し
消せぬ三秋の思ひ

見聞しもの總てが事新しかつた
彼の日頬を撫ぜた風の如く
節氣等移らへば止みゆくのだらうか
長き冬の明けるやうに

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いろがたり

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投稿日:2017/12/27 19:20:15

文字数:463文字

カテゴリ:歌詞

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