今日も暑いわねぇ、と近所のおばさんがホウキを持ちながら笑いかけてきた。
ミクは緑のツインテールを揺らしながら、そうですねと微笑み返した。

 その揺れた髪に太陽の光が反射して、おばさんは眩しそうに手を目に翳しながら「いってらっしゃい」と元気な声をあげた。

 逆光で光り輝くミクは、太陽のように目を細め、「いってきます」と手を振った。
 手を振返すおばさんを背に弾む足取りで歩き出したら、後ろからサッサとホウキで緑の葉っぱを掃く音がした。

 ホウキを握るおばさんは、あれで尖り帽子を被ってマントを羽織れば、まるで優しい魔女のようだ。とミクは思っている。

 
 魔女のおかげでやる気が出たミクは元気に学校へと向かうのだ。
 あの優しい笑顔は不思議だな、魔法みたい。
 
 蝉の鳴き声も微かに聞こえ、蟻は地面を忙しそうに歩き回っている。
 顔をあげればピンクから緑になった花木。
 乾いた空気。

 全てが夏らしく気持ちがよくて、暑さなど忘れてしまうほどだ。
 梅雨明けした今、たまに草むらで蛙を見かけることがある。
 キスをすれば王子様になるのかな、なんて空想は置いといて。

 
 「ミク、はよっ」
 ドン、と背中を押す元気な声に顔。
 少し違うが同じ髪の色、目線をあげるとはにかんでいる恋人のミクオだ。

 軽くおはよ、と挨拶を交わし、歩調を合わせて隣で歩く。
 途中日陰に入るとミクオは歩調が遅くなる。よほど日向が暑いようだ。

 そんな暑いかな?って言ったらミクが寒がりなことをスパッと言い当てられてしまった。
 むしろ暑さを楽しんでる…と言ったほうが正しいかもしれない。

 ミクオはすっかり呆顔になり、日向になると私の手を引き、次の日陰目指し走り出した。
 走ったら逆に暑いんじゃないの?そんなことを思いながらついていく。
 ついつい笑みが零れてしまう。

 
 「…夏休み、どっか行こうな」

 蝉の声に混じって透き通るミクオの声。恥ずかしそうに顔を押さえながら声を漏らす。

 赤い顔は暑さなのか恥からなのかは分からないが、ミクの顔は確実に嬉しさから赤くなった。


 「うんっ…!約束ね」

 おう、と小さく聞こえる声と同時に速くなるスピードと心臓。
 
 時々躓きそうになる小石をはねのけて、しっかりミクオの手を握って魔法にかけられたまま歩き出すのだ。










end

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初夏の朝



最近暑いですね(´Д`;;)
学校からチャリ漕ぐのもキツいw

さて、今回は初夏の登校時をミクとミクオに!
リア充いいな←←←

てか明日テスト…
あああ誰か助けてくださーい(泣)


閲覧数:108

投稿日:2011/07/03 17:09:49

文字数:1,003文字

カテゴリ:小説

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    瓶底眼鏡

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    どうもです!

    若いなぁ……いいなぁ俺も恋したいなぁ←

    リア充爆発しろ!そして運ばれた病院でいい雰囲気にでもなっていればいいんだああああ!!!!←

    助けられたら助けたい……が、自分の能力値も低いのでどうしようも←

    2011/07/03 17:43:45

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