最終章 後編

『電子の歌姫』

その曲は『自由』と『鳥』、それから『大空』という言葉がたくさん出てきていた。
遅く長く伸びる声を私は頑張った。
今まで麻美さんが持ってきたJ-POP系や香織さんが合唱のために持ってきたH-HOP系でもない。
子守唄みたいだと私は心の中で思った。
歌の最中横を見るとマスターは気持ち良さそうに目を細めて笑っていた。
私も嬉しかった。
マスターの笑顔が見れて良かった、と。

曲が終わり私はマスターの方を見る。
何時もはあるはずの拍手が無いのはマスターが寝ているからだと思った。
案の定マスターは目を瞑って黙っていた。
私は持ってきていた薄ピンクのカーディガンをかけてあげた。
「マスター、私。
歌いましたよ」
マスターが初めて作った曲を。
「昔は全然歌えなかった私が」
最初に歌った童謡の話をする。
「マスターの作ってくれた曲を歌えました」
貴女だけが聞いてくれた私の歌声。
何時も側にある笑顔のために。
「マスター、大好きなんです」
貴女の笑顔、貴女の手。
これからもずっと歌わせてください。
そう言って私はマスターの手に自分の掌を置く。
「・・・・・・・・・・・・・・マスター?」
冷たく白い手。
顔を覗くとまだ寝ているかのようで。
でも押し当てた掌から心臓の音は聞こえなかった。
「マスター。起きて下さい」
私は動かないマスターを懸命に揺さぶった。
お姉ちゃんが私を見つけたらしく遠くから名前を呼ぶが返事が出来ない。
「マスター・・・・・・・起きて」
滲む視界に微笑んだマスターを見ながら私はそう言って抱きついた。
しかし、もうあの温かい手で頭を撫でてもらう事も、「ミク」と名前を呼んでもらえる事は無かった。


3日後、都内で密かな葬式があった。
高校生の女の子が病院で死亡というので集まった肉親に混じってうな垂れたままの高校生の女の子やハンカチを押さえたまま二人の子供を連れた女性、その女の子の担当医、そして、黒い着物を着た女性の姿があった。
運び込まれる前に黒い着物の女性、宮野香織はその子の両親になにかを話した。
すると今まで黙っていた両親は棺おけの蓋を開けた。
あれからずっと微笑んだままのその子に一度だけ触れて、組まれた手になにかを置いた。
「ミクちゃん、あとは貴女がお願いね」
それだけ言うと棺おけの蓋を閉じた。


始まりはインストールに始まり、マスターの為に歌う。
「・・・・・・・ミク?」
花畑に立っているミクを見つけた少女は目を開く。
「マスター、今度はちゃんと拍手をくださいね!!」
そう言って両手を広げる少女もまたVOCALOID。
大好きなマスターの為に、今日も花畑で歌を歌う。
アンインストールをしない限り、離れてもずっと一緒にいてくれる。
「・・・・・・・・・・・ミク。
有り難う」
電子の歌姫に涙混じりの笑顔を見せて少女は盛大な拍手を送った。

(最終章  終了)



はい、マスターの名前が放置のままミクの回が終わってしまいました(計画性ナッシング)
いやー、長かったですね。
私はVOCALOIDを持っていないんで所々「あり?」と首を捻るところもあるとは思いますがその辺はもう勘弁してやってください・・・・・・・・(土下座)
VOCALOIDではミクちゃんが一番大好きです。
ではでは、また次のVOCALOID編までお待ちくださればと思います。
お付き合い、有り難う御座いました!! 
       

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

『電子の歌姫』

最終章後編。
電子の歌姫は何時までも貴方の側に・・・・。

もっと見る

閲覧数:207

投稿日:2009/10/31 14:49:01

文字数:1,440文字

カテゴリ:小説

  • コメント4

  • 関連する動画0

  • 水樹

    水樹

    その他

    sunny_m様へ。



    はじめまして水樹と申します!!
    この度はこんな文をお読みくださり有り難うございます。

    はい、最終章を考えているときこのまま生きる事も考えたんですがやはり『VOCALOIDとマスターは何時までも一緒に・・・・』をテーマにしていたんでこう言った結末になりました。
    死と人間は常に隣り合わせです・・・・・。
    最後くらいギャグにしても良かったような気がしますがシリアスを選んでしまいました。

    他のマスター達はシナリオで正確な素性とかを明かしたいと思います。

    では、亀更新で申し訳ないですがこれからも構ってやってください!
    本当に有り難うございました(*^^*)

    2009/10/31 19:06:11

  • sunny_m

    sunny_m

    ご意見・ご感想

    はじめまして、こんにちは。
    sunny_mといいます。

    新着に気になる感じの小説があるなぁ。と見に来て、おっと最終回だ。と慌てて最初から読ませていただきました。
    そして一息に読んで、感動に耐え切れずコメントします。

    切なさに胸が締め付けられました。
    無理なことと思いつつも、死なないで。と願ってしまうほどに。
    (それこそ、がくぽの主である宮野さんがきっとなんとかしてくれる、いや、してくれるに違いない!と願っちゃったりもして)
    けれど読み終えて、この結末しかないのだろうな。と悲しいけれど納得しました。

    私も以前、人の生き死にをモチーフにした小説を書きましたが、大切な人がいなくなるのは、とても悲しいことですね。

    他のボカロとマスターの関係も、それぞれ個性が出ていてとても気になります!

    水樹さんのご活躍を楽しみにしていますね。
    なんか、長文の感想で、ホント失礼しました。

    2009/10/31 18:50:14

  • 水樹

    水樹

    ご意見・ご感想

    ムシュカ様へ。

    最後までお付き合いいただいて本当有難うございます!!
    今回でミク編は最後になりましたが気まぐれで時々ミク組は復活するかもしれないという・・・・(計画性が無い人ですいません!)
    次は他のマスターさん視点で色々書いたりボカロ家を書いたりとしてみたいので宜しかったらまた見てやって下さい(相変わらず亀更新ですが・・・・っ(汗))

    2009/10/31 15:26:33

  • 閉じる

    閉じる

    ご意見・ご感想

    え、え、え?ええ?…ええ?!
    ま、マスター…あ、やばいです…!涙腺が…っ!!(;Д;*)
    水樹さん!本当に、その、感動しました!!
    じ、次回作、楽しみに待ってます!!><

    水樹さんと、ミクと、マスターと、みんなに拍手です!!><

    2009/10/31 15:09:04

オススメ作品

クリップボードにコピーしました