カラカラに乾いた瓶が鳴る
今日からここが 僕の家
カーネーションのソファ
ラスカスの梯子
センニチコウの洋燈
オイルを纏って 沈んでいく
光を受けて 透けた身体は
時を止めてもなお 瑞々しく輝いていた
褪せてしまうと 分かっていても
365日の 翠彩の夢をみる
ピカピカに磨かれた瓶が鳴る
今日もここで 僕は暮らす
デイジーを抱きしめた午後
カスミソウに頬ずりをして
スターチスと手を繋ぎたい
吐いた泡が 天井に上っていく
光が溢れる 窓際の温度は
移ろう僕を 癒すように包み込む
褪せる前に その目に焼き付けてよ
1日でも長く 君の傍で鮮やかに在りたいのに
アジサイの子守唄
ペッパーベリーの鼓動
バラの愛撫
蕩々と 夢見心地の時を泳ぐ僕は
ミネラルの海で 彩期の日を待っている
光を閉じ込めた 僕の翠槽は
君に看取られる僥倖に焦がれていた
褪せてしまうまで 全て捧げた一色
微睡みの片隅 瓶詰めの無彩に
君の眼差しが 優しく降り注いで
そっと 世界に さよならを した
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