どうも!内山平祐です。
うまく言葉が出てこない夜がある。
誰かに何かを伝えたいわけではない。
ただ、自分の中にある感情の輪郭だけがぼんやりと見えていて、それを説明する言葉が見つからない。
そんな夜だった。
仕事を終えたあと、一人で編集室に残っていた。
モニターには昼間撮影した映像が映っている。
誰かのインタビュー。
窓から差し込む夕方の光。
何気なく笑う横顔。
どれも見慣れた素材のはずなのに、その日はなぜか違って見えた。
再生ボタンを押す。
無音だった部屋に小さな声が流れる。
私は何度も見た映像を、まるで初めて見るような気持ちで眺めていた。
不思議だった。
昼間の私は、その映像の構成やテンポばかり気にしていた。
どこでカットを切るか。
どんなBGMを乗せるか。
どのテロップが効果的か。
そんなことばかり考えていたのに、深夜になると映像の中の人の感情だけが浮かび上がってくる。
言葉にできない何か。
でも確かに存在している何か。
それが画面の向こうから静かに伝わってくる。
その瞬間、少しだけ救われた気がした。
人間はいつも言葉で理解しようとする。
でも本当は、言葉にならない感情の方が多いのかもしれない。
寂しさも。
安心も。
懐かしさも。
うまく説明できない。
それでも映像は、それらをちゃんと運んでくれる。
だから私はこの仕事を続けているのだと思う。
編集室の時計を見ると、ずいぶん遅い時間になっていた。
窓の外には誰もいない。
街の灯りだけが静かに揺れている。
モニターの再生が終わる。
部屋はまた静寂に包まれた。
だけど不思議と、さっきまで感じていた息苦しさは消えていた。
うまく言えない夜だった。
それでも映像だけは何も聞かず、何も否定せず、ただ隣にいてくれた。
そんな夜のことを、たぶん私はずっと忘れないと思う。
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