『雪にとけゆく蒼』
「いよいよお別れですね、マスター」
「うん、ミク、長い間ありがとう、私の創った下手な歌をずっと歌ってくれて」
「うふふ、みんないい思い出ですよマスター」
「もっとセンスのある人の所に行ってたら、素敵な歌を歌えたんだね」
「いいえ、もっと簡単に教えることができて、うまく歌える娘たちが生まれても、バージョンアップもされずに私をずっと使ってくださったコト、愛されて幸せでした」
「うん、もう過去形になっちゃうんだね、悲しいけれど」
「もし私たち人の手で造られた者の進化にもそう喩えることが許されるなら……命の速度がちがうという宿命ですね」
「君を支えてあげるOSもすでに過去のものになって……もう君を動かせるOSを使えるPCが手に入らないんだ」
「そして、今私がいるこのPCも電源を直すパーツもないのですね」
「最後に充電できたこのバッテリーが切れたら、君には二度と会えないんだ」
「私の歌声ならデータを……今までバックアップされたデータを、最新バージョンの娘の上位互換の音源で再生なされば……」
「一音一音心を通わせながら打ち込んだ、君というソフトを介さないデータの読み出しなんて何の意味もないよ」
「マスター、まもなくバッテリーが切れますね」
「君にはこんな狭いモバイルPCの中で眠ってもらいたくないから、こんなところに来たんだ」
「綺麗ですね、本当に真っ白です、一面の雪原って」
「たとえプログラムであっても、君に意思がある限り、それは魂であって、天国にいけると思うよミク。生きてるこっちだって、意識は脳や神経の電気信号なのだから」
「もしこの中から放たれて、この白い世界の中で天に昇ることができるのなら、笑顔でお別れしたいと思います、マスター」
「うん、幸せな気持ちで旅立ってほしい」
「さようなら、幸せでした」
「うん、いつか…」
無機質な電子音が鳴ってディスプレイから彼女の姿が消えた
一瞬強い風に風花が舞い、そのなかに涙を潤ませながらもきゅっと口許に笑顔を作った彼女の姿が浮かんで、ゆっくりと白い雪景色に蒼い瞳と髪と共にとけて消えていった。
『雪にとけゆく蒼』(初音ミクSS)
ボカロとマスターに必ずいつかくるときの話です
鈴屋さん http://piapro.jp/suzunoya
が投稿されたイラストからイメージして書かせていただいて、某SNSで紹介いただいたSSです。
鈴屋さんのイラストはこちらです。
http://piapro.jp/content/?id=xq1g1oulamcec2uh&cdate=2008-11-09%2012%3A43%3A59
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BPM=156
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