おはようのキスで目を覚ますのは、お姫さまじゃなかったっけか?



 頬にかかる息。その直後に柔らかい感触が触れてきて、ベッドで眠っていた俺はぱちっと目を開けた。短い金の髪が目の前で揺れてる。その間から覗く白いリボンは彼女のトレードマークだ。
 腹の上に乗っかっているその重みに身じろぐと、視界に入った顔が、にへら、と笑いかけてくる。

「おっはよぉ、レンっ」

 …この顔と、俺の顔が、そっくりなのか。何だか複雑だ。
 このろくでもない起こし方をしてきているのが俺の双子の姉のリン。ってーか。

「…リン」
「なあにぃ?」
「何、やってんだ?」
「しあわせのおすそわけっ」

 …意味が分からない。
 その疑問の目線が伝わったのか、リンがにこにこと笑いながら言い放つ。

「昨日の夜ねー、ルカ姉がおやすみの時にほっぺにちゅってしてくれたんだー」
「ぶっ!」
「『家族の挨拶だ』ってー」
「それは外国での話だっ!」
「んー、でも、なんかしあわせになったからさー。レンにもわけたげたくってっ」

 海外暮らしの流儀を突然持ち込んだルカ姉にツッコむべきだろうか。それともそれを普通に俺にもやろうとするリンに呆れるべきか。
 でも。

「レンもしあわせになったー?」

 そんなにしあわせそうに問われると…否定の言葉が出て来ない。

「あー…、うん」
「よかったぁ」

 えへへ、と笑って、ぎゅっと握り拳を作って。

「よっし。じゃ、皆にもしあわせ配ってくるねっ」
「へ?」
「まずはミク姉だーっ!」

 止める間もなくリンが行動を起こす。下敷きにされていた俺よりもリンの方が早く動けるのは当たり前で。
 追うように起き上がるものの、その時には既にリンは部屋から姿を消していた。素早すぎだろ!

「ったくっ」

 俺も追って部屋を飛び出す。とりあえず向かう場所は決まってる。



 他の家族はまだしも。
 …カイ兄の部屋にだけは断じて入れるわけにはいかないからな。

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あいさつ。【リンとレン】

無邪気に突っ走る姉と振り回されて苦労する弟。
…ただそれだけですスミマセン。

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投稿日:2009/11/12 02:34:43

文字数:831文字

カテゴリ:その他

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