『last"ß"erosion Mk.3』

鉄柵が叫ぶ
瓦礫の底へと
血色の靴を履かされた白雪姫

私はだんだんと
口無しの執行猶予

「誰かの悲鳴を書き消した、今日の拝啓」

私に贈られた名も無い日記帳は
親愛なる友達へ"I"だらけの頭文字

不条理より潔白証明
ひげ文字の隊列はノートの空白分の自由へ


電燈が灯る
隣町の硝子棚
紅い尾びれをプレゼント263番地

私はらんらんと
魚みたく踊るの

「銀河星図、もうすぐで一つになる」

"突撃の角笛が、吹き鳴らされた"
Zum letzten Mal Wird Sturmappell geblasen

"もう既に皆は、戦いの準備を…"
Zum Kampfe steh’n Wir alle schon bereit


――駈らされて　刈られても　枯れる前に　燃やしてよ


街路樹が煇る
戦火の中へと
真っ赤な足を引き摺った人魚娘

私はだんだんと
獲物みたく息絶え

「苦しむ前にゼロになる、１歩手前へ」

街中に聞こえるくらいに
銃よりも大きな声で

「助けて許される場所へ」

僕の声が聞こえない方に
誰も居ないうちに

「さあ逃げて外の世界へ」


孤独な少女は祈る
二人分の歌声を

三本脚仔馬のワルツ
四つ足戦車を追い駆けて

五芒星の偽物探せ
六つ指ヒトデは隠れた

「七人の小人は何処へ？」

八つまで数える其の前に
九回目の悲鳴を…


秘密基地に子供以外は入れない
だから見つからない大丈夫


――目一杯の声を　涸らすから　嗄れるまで


その声は文字に
言い表せれないほど綺麗で

"透き通っていて真っ白な言葉"

掠れて忘れるまで何度も
聞こえない記憶をなぞるの

"手を黒くして書き残さなくても胸の中で…"


慰霊碑が残る
故郷の教会へと
黒いヒールを探してる

爛々と色褪せる
梔子の花弁を見つめては思い出す

「さよなら親愛なる彼方へ」

君呼ぶ汽笛が鳴り始めれば
手を振る先に終点と物語の１ページ目