『タチユキ』
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告げられた言葉だけが 反芻して
置き去りになった 脳の奥に木霊する
喉元で留(とど)まった 応えは震えて言葉にならなかった
b
冷えた手も握れないまま なぞるだけの日々に
夢も明日も心も時も凍りついて
温もりになりたかった 暖めてほしかった
行き場のない想い纏めて、唄う
s
『行かないで』 虚空に放つ度
降り掛かる息は、束の間。
無機質に 舞い散る鈍色(にびいろ)が
降り止んで溶けて、次の季節に染まるまで
面影は消えてくれない。
振り向けば隣にはいつも
あなたがいて その存在が風景になっていたんだ
s
『さよなら』を 飲み込めないでいる
今でも望むの、次の季節になる前に
“これまで”に続きをー
b
夜が必ず明けるように 何度も越えてきた
哀も悔いも痛みもぐっとしがみついて
でも今は違うじゃない 盾にする声はいない
もういっそ冷たさのせいにして、唄う
s
『さよなら』を 刻まれた隙間に
痺れ吹き抜ける、次の季節を運ぶように
ひとりで立たなくちゃ
s
『泣かないで』 宛もなく呟く
降り掛かる息は、私に。
戻れない 二度と繰り返せない
ほんとは知ってる、同じ季節は巡らない
面影なんて消えてしまえ。
a
くぐもった声色だけが 反芻して
曖昧に焼き付いた 空風(からかぜ)の残像
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