王都から少し離れた森の中に、古びた館が建っていた。その館は、かつての栄華を誇るように辺りを圧倒していたのだが、手入れのしていない庭やしだやコケが絡み付いた屋敷は、落ちぶれた貴族を映し出していたのだった。
ここに住んでいるのは、初老の男と近くに住む通(かよ)いの女中だけだった。
かつて、男には、女房と一人娘がいた。ある日、娘が帰らなかった。夫婦は、一生懸命森を探したが、見つからなかった。次の日、近所の人にも手伝ってもらって、森を探したがみつからなかった。
娘が消えてから10日が過ぎた。男は、一人で森をさがしていた。森の中に土が丘のようにこんもりした処を見つけた。大きな木の脇にあったのは、男がまだ若い頃こ、の森を切り開いて畑にしようと考えて掘っていた井戸の跡だった。木の枝が蓋の端の方を隠していた。胸騒ぎを覚えた男は、大急ぎで蓋を取り除いた。
中にいたのは、もう・・・・娘だった。館に連れ帰った男は、女房に説明した。女房は、幾日と泣き叫び続けた。その泣き声は、次第に弱くか細くなっていった。男がいくら食事を進めてもパン一口食べる事はなかった。ついに、声は枯れ・・・・。
一人ぼっちとなった男は、館から出る事はなかった。心配した近所の夫婦の女房が、毎日世話をしに通ってなんとか、生きていた。
ある日。シナ服のいかにも怪しげな男が、屋敷を尋ねてきた。お客に頼まれて配達して来たのだが、帰り道を間違えて困っていると言っていた。女中は、お茶をいれるから、ご主人の話し相手をしてくれと言い出した。シナ服の男は、屋敷の男の気晴らしになりそうな、そんな風に怪しげな人に見えたのだ。折角見つけた家の人が、気分を悪くして自分を追い出すのを恐れたシナ服の男は、少々の時間ならとお茶に呼ばれるだった。
男とシナ服の男は、最初からお互いを警戒した目で見ていた。そんな雰囲気を、まったく感じない女中は、ここいらの森でおきる不思議な事を延々としゃべっていた。いい加減厭きてきたシナ服の男は、壁の一枚の絵に興味をもった。その二つに分けて緑色した髪の娘を、よく知っていたのだった。娘の話をすると、男と女中は黙って聞いていた。話が終わっても、続きをせがむのだった。困ったシナ服の男は、こう言った。
「もしご希望でしたら、これとそっくり同じ姿の人形をお持ちしますよ。ちょうどそっくりの土台が一体あります。こちらに、この娘さんの服があるのならば、髪と顔を作るのは二日でできますから、三日後にお持ちします。」男は、喜んでさっそく注文するのだった。三日後に人形は届いた。女中が着せた娘の生前の服は、人形にぴったりと合った。シナ服の男が言う金額は、かなり高価な物だったが、男は文句を言わず払ってやった。
シナ服の男は、お礼と言っていくつかの小物をつけてくれた。
西の王女が愛用したという、赤いワイングラス。
北の王子が愛用したという、青いスプーン。
南の双子の愛用したという、黄色い枠の対の鏡
その精工にできた人形は、背中にぜんまいを巻くネジがついていた。
ぜんまいを巻くと、「るりらるりら」と歌を歌いだすのだった。シナ服の男が言うのには、そのモデルは、緑の国一番の歌姫で、それをまねて作ってあると言っていた。
毎日、人形と話かけていた男は、次第に元気になっていった。
時々、森を散歩するまでに元気になった男は、今日も森に散歩に出かけた。
昨日はひどい雨と雷だった。
男は、娘が落ちた井戸に来ていた。
「そういえば、ここに娘が落ちたんだだった。」そう思い、何気なく中を覗き込んだ。
そこには、自分の娘が落ちていた。驚いた男は、大急ぎで女中の家にいき、夫婦に手伝ってもらって屋敷に連れ帰った。驚いたのは、女中夫婦もだった。男の娘が、生き返って井戸に落ちていたのだ。怪我しているようなので、医者を、女中の夫が迎えに行き、男と女中は、怪我を消毒しきれいに洗い流した。それから、体を温めるように部屋を暑くしたり、服を替えたり、体を拭いたりした。医者の見立てでは、井戸に落ちた時、足を一本折り、もう一本もひびが入っている。ギブスをしていれば8週間で歩けるようになると言っていた。
戻ってきた娘は、自分の名前も男が誰かも判らないようだった。男は、娘が戻ってきた事を喜び一生懸命介抱するのだった。
人形が歌うとき、娘は遠い何かを思い出している様に見えた。そんな幸せが1ヶ月ほど続いた。
突然、森が燃え始めた。兵士が屋敷に入り、男にすぐ出て行くように言った。男は、従わなかった。娘と人形をおいて逃げる事は出来なかった。男は、娘に言った。
「戦争が始まった。這ってでも逃げなさい。」娘には、なんの事か分からない様子だった。
炎が屋敷に燃え移った。男は、娘を抱きかかえ屋敷から連れ出した。兵士は、そんな男の後ろから切りつけるのだった。
第30話 箱庭の少女
mothy_悪ノPさん、投稿の「箱庭の少女~ぜんまい仕掛けの子守唄2~」
この二次創作小説の一部です。
mothy_悪ノPさん、投稿の「悪ノ」シリーズの二次創作小説として「悪ノ王女」を書いています。
この本文は、ブログにて掲載中です。
http://akuno.paslog.jp/
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