発想元・歌詞引用:U-ta/ウタP様 『創世記』
翌日の朝。
パイオニアの花畑で、またひとつ、黒くしぼんだ花が散った。
サナファーラの部屋の花は、健康に息づいている。
「あたし」
サナファーラは、黒くくすんでゆく花畑を、日よけのショールの下から見つめた。
「がんばらなくちゃ」
夏の日差しは変わらずに天で輝いている。
サナファーラは、決意を新たにし、花畑に背を向ける。
その背を、太陽の強い光が押した。サナファーラの瞳は、夏の太陽を映したようにきらきらと輝いていた。
* *
そのころ、パイオニアたちの本物の創り主、『神』である人間たちは。
予想もつかなかった、この星を照らす『太陽』のフレアバーストに襲われていた。
突如として発生した異常な波動の光に、情報通信網を焼き切られていた。
パイオニアたちと交信する手段も途絶えた。パイオニア集落のサーバとして働く機能も失った。それどころか、自分たちの母船のシステムにも異常を来たした。
神降臨の準備のために、新たな大地に播かれたパイオニア。
パイオニアたちには、人間には効かない、特殊なウイルスへの受容体を作る遺伝子が組み込まれている。
『神』である人間がこの星に暮らすことのできる環境が整い次第、パイオニアはその特別なウイルスをまかれて全滅させられるはずだった。
その、『神』が命を利用するはずのパイオニアたちよりも先に、神々は母船のライフラインを断ち切られ、ひっそりと滅びていたのだ。
* *
「ミゼ。何それ」
サナファーラは、会議の後に、巫女たちに、神の声を聞く部屋で、ある小さな瓶を見せられた。
「通信が途絶える直前なんだけど、神様からこれが送られてきたの。空から、落下傘をつけて落ちてきたのよ。中にメッセージが入っていて、秋になったら撒けって書いてあった。神様降臨の準備をするためのものなんだって」
ふうん、とサナファーラは瓶を見た。
褐色の瓶の中に、何か液体が入っている。
「何か、解決策になるかもしれないって、明日、陽が昇ったら、播いてみることになった」
ミゼレィが、用意した霧吹きを見せた。
「いいの?」
巫女頭がうなずいた。
「神様は、これまで、私達に農業を教え、海を渡る術を教えてくれました。今回の太陽の異常の対策にと、もしかしたら予想して、私たちにこれをくれたのかもしれないわ。
時期は違うけれども、猶予はない。
……賭けてみましょう」
かくして、翌日、日が中天に昇る正午、褐色瓶の蓋は、風の吹き渡るパイオニアの花の丘で開放された。
強い光線と異常な波動にさらされた、パイオニアを全滅せしめるウイルスは、その強い光を浴びて、風の中でその活性をことごとく失っていった。
当然のことながら、風の中にきらめく霧の粒が散り去った後も、何も起こることはなかった。
「残念だね」
雲間からさす光を眺めながら、サナファーラはつぶやいた。
まさにこの時、自分たちの命が救われたのだということを、パイオニアたちは終ぞ知ることは無かった。
神から貰った『パイオニアの花』は枯れてゆく。
パイオニアたちは,陽の光をなるべく避けるために、洞窟や土の下に穴を掘り避難した。
そのころ、この星へ観測船を飛ばしていた『神々』の母体組織は、この星を襲った異変を感知していた。
そして、異常な恒星の波動と、枯れゆく各地の『パイオニアの花』を観測した。
この惑星での移住計画のリスクを重く見た神々の組織は、自らが投下したパイオニアが生きようとあがくこの星を、
放棄した。
……続く。
小説 『創世記』 10
発想元・歌詞引用:U-ta/ウタP様 『創世記』
音楽 http://piapro.jp/content/mmzgcv7qti6yupue
歌詞 http://piapro.jp/content/58ik6xlzzaj07euj
……ここからが、神々に捨てられたパイオニアたちの正念場です。
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BPM=156
作詞作編曲:まふまふ
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