「私はある日、とても男らしくてすばらしく強い方に出会いました。」
と、微風は言いました。
「へぇ」
と、レンが言いました。
その小さな相槌に、微風は嬉しそうにそのあたりを回ってレンの手の辺りに戻ってくると、
「私はその方に出会ったそのときに、恋に落ちてしまいました」
うっとりとして、微風は笑っています。
「その相手って、一体誰何だい?」
と、レンが聞きました。
「嵐様、です」
「それはそれはきれいな女の子だったわ」
と、嵐が語ります。
「よかったね」
と、リンが笑いました。
満足げに頷き、嵐はリンの禁止の髪を乱しながらも、落ち着いた様子で話の続きをはじめました。
「その子はとてもか弱くて、小さくてね。つい守ってあげたくなるのよ」
「へぇ。その相手って、誰なの?」
リンが興味深そうに問いました。
「微風、と言ったわ」
微風と嵐が出会いました。
微風は嵐を見、声を聞いたとたんに、恋に落ちてしまいました。けれど、自分が嵐に近づこうものなら、一瞬でかき消されてしまうことでしょう。微風は、嵐に近づくことすら許されないのです。
それがあまりにもかわいそうだと思った風の神様が、嵐と微風を全く別の世界に分けてしまいました。鏡で隔ててしまいました。そこにいれば、諦めがつくだろうと考えたのです。
そして、二人の話を聞いてやるための遊び相手の代わりに、鏡を通してリンクすることが出来る特別な子供、リンとレンをそれぞれの世界に送りました。風の声を聞けるのも、彼らの特殊な能力です。
時折、微風は嵐にあいたいとちょっとしたわがままを言います。そのたびに、連歌困ってしまうのでした。会いたいと言っても、連には二人を合わせてやることは出来ないからです。
それに比べて、嵐は至って冷静でした。嵐、と言うのでなんだか乱暴そうなイメージがあるのですが、嵐自身はそこまで乱暴な性格ではありません。自分のやるべきこと、なすべて気ことをすべて理解した、完璧な人(?)でした。
「微風は、どうして嵐がすきなんだい?」
と、レンが聞きました。
「あんな肩は見たことがありませんでしたから…」
まだ微風はうっとりとしています。
「嵐はその子のこと、どう思う?」
リンが問いかけます。
「そうねぇ、可愛いと思うわ」
「それだけ?」
「ええ、それだけ」
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