戦略というものは、表向きはロジックでできているように見える。
数字、指標、優先順位、ロードマップ...
ビジネスの世界では、それらが整っていれば前に進めると信じられている。
でも実際の現場に身を置くと、そこには数字では測れない「こぼれ落ちた言葉」が
無数に転がっていることに気づく。
深夜、次の日の提案資料を整えていると、ふと昼間のクライアントの表情が浮かぶ。
「本当は、うちの社員がもっと笑える会社にしたいんです」
予定にはない一言だった。
資料に書くには曖昧すぎて、戦略フレームにも当てはまらない。
でも、その言葉にこそ企業の未来が宿っている気がして、僕はしばらく手を止めてしまった。
戦略の隙間には、必ず“感情”がある。
社員の不安、経営者の孤独、そして小さな希望。
それらは数字よりも小さく見えるけれど、長く続く事業ほど、こうした“微粒子のような言葉”が方向を決めていく。
だから僕は、夜の静けさの中でそれらをひとつずつ拾い集める。
会議では語られない本音、図には載らない願い。
それを文章に紛れさせたり、次の提案の行間に忍ばせたりしながら、企業の物語を少しだけ未来へ押し出していく。
戦略とは、本来もっと“やわらかいもの”なのかもしれない。
理論と感情、そのどちらが欠けても企業は前に進めない。
今日もまた、こぼれ落ちた言葉たちを拾いながら、静かな夜が過ぎていく。
【関沢憲史】戦略の隙間にこぼれ落ちた言葉を拾い集める夜
戦略とは、本来もっと“やわらかいもの”なのかもしれない。
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