足を止めた街角の匂いとか、
名前も知らない駅で見上げた空の色とか、
たどり着いた場所よりも、
その途中でふと触れた景色のほうが、
いつまでも心に残っていることがある。
旅も仕事も、きっと少し似ている。
目指していた場所に着いた瞬間より、
そこへ向かうまでに交わした言葉や、
遠回りした道で見つけた感情のほうが、
あとになって静かに輪郭を持ち始める。
何かをつくる日々も同じで、
完成した映像そのものより、
どの瞬間を残すか迷い続けた時間や、
削った言葉の余白に残った気配のほうが、
ずっと長く、作品の奥で呼吸をしている。
最短距離じゃなかったことや、
思い通りに進まなかった時間さえ、
振り返ればちゃんと意味を持っていて、
むしろ少し不揃いな記憶のほうが、
その人らしさを強く映していたりする。
ゴールに辿り着くことは、
きっとひとつの区切りではあるけれど、
本当に残るのは、
そこへ向かう途中で見落としかけた
小さな揺らぎや、言葉にならない温度のほうだ。
だからたぶん、
旅も仕事も、結果だけでは終わらない。
途中で迷ったこと、立ち止まったこと、
思わず見惚れた一瞬や、
うまく言えずに飲み込んだ感情のすべてが、
最後にはその人だけの景色になる。
ゴールよりも途中が残る。
辿り着いた場所よりも、
そこへ向かうまでに触れた光のほうが、
静かに、深く、
ずっと心の中に残り続けていく。
ゴールよりも途中が残る、旅と仕事の記憶
人生も旅も途中の景色を楽しみながら進みたい、そんな思いを書きました。
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