水草はどこからが太陽なんだらう
自動車のタイヤに細かく切つてもらつたのか
洗つてないカーテンの剣に遊ばれてゐるだけなのか
木曜にやつてきてはまた日曜へと去つていく
擦り切れた影の一本一本に過ぎないのか

椅子があるのになぜ誰も座らないんだらう
空に浮かんでゐる引き出しは磁石でバランスをとつてゐるのか
灯りを採る窓全部に黒いハンカチを取り付けに行つてゐるのか
折り紙はくせをつけたままもう次の街へと出かけた後だつた

落ち着いた方がいいみたいだよ
魔法にかけられた街では壁が自分で遠ざかるから
慌てないふりをした方がいいみたいだよ
食べ物で作られた街には平らな地面がないのだから

葉つぱが何を知つてゐるといふんだ
真つ白に「すみません」と言ふだけのやさしさなのか
波はたくさんのあいさつで作られてゐるといふけれど
古いタンスの存在感はそれを知つた上でのことなのか

さうだね新しいお話はなかなかできないよ
十二の門を歩いて越えた冬に王様は生まれてくるのか
物真似のメニューなら後ろの席に回しておいておくれよ
机の上から動かしたいのは時々あいつに書く手紙なんだから

そつとしておいた方がいいみたいだよ
心臓の音は隣の家のハンマーからたたき出されてくるから
気付かないふりをしてゐた方がいいみたいだよ
魔法を見やぶつたことをあいつに悟られてしまうから

お茶碗で戸を押してしまつたんだよ
をぢいさんはなんではね起きたんですか
扉が開いてゐると中に入れるのか
もう思ひ出されても驚かないし驚きたくないよ

ぼくは後ろの草でした
寝たふりをする踊りを踊つてゐました
ここにはゐない他の誰かの代りに立つてゐました
でもあきらめずに靴の中の小石を踏んでひそかに守つてゐたんだ

落ち着いた方がいいみたいだよ
魔法にかけられた街では壁が自分で遠ざかるから
慌てないふりをした方がいいみたいだよ
食べ物で作られた街には平らな地面がないのだから

そつとしておいた方がいいみたいだよ
心臓の音は隣の家のハンマーからたたき出されてくるから
気付かないふりをしてゐた方がいいみたいだよ
魔法を見やぶつたことをあいつに悟られてしまうから


水草は夜明け前にいくつもの歌を聴かされ育つたんだ
そして自動車の音とライトとにかき消されさうな言葉の連なりを
拾つてきては束にして紐で括つて吊るして
乾かして細かく砕いて
集めて投げつけられたものだから
たまらなく眩しいんだよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

水草はどこからが太陽なんだろう

閲覧数:167

投稿日:2021/10/17 11:33:06

文字数:1,024文字

カテゴリ:歌詞

クリップボードにコピーしました