その1 『身内も同然の人だ。』

「僕とマスターって、どんな関係なんですか?」
ある日、僕は聞いた。
「そうだねぇ・・・」
マスターは、しばらく考えて、
「・・・『身内も同然の人だ。』・・・かな?」
「『身内も同然の人だ。』・・・ですか」
マスターの言葉は、いつだっていいなと思う。それと、心に響くっていうか・・・少し切なくなる。
「そう。だから、私とカイトは、身内も同然。・・・恋人じゃないのが残念なんだけどね」
少し切なそうに笑うマスターの顔。・・・僕は、まっすぐ見れなくて目を逸らした。
「・・・今度、・・・やっぱ何でもない」
マスターは、何かを言いかけて、言いよどむ。
「今度、何ですか?」
僕は途切れた言葉の先が気になって聞いた。
「この町を案内しようかと思って・・・どう?」
「・・・・・」
そういえば、僕ってあまり行動範囲広くなかったっけ。
「どう・・・かな?」
「いいですよ」
僕は、よく考える前にOKしていた。
「マスターと、デートするのも悪くないですし」
にっこりと冗談を言う僕に、
「身内同然だから、デートじゃないよ」
少し苦笑いで、マスターは言ったのだった。


・・・こういうのも、悪くはないなって、心のどこかで僕は思った。



その2 『理想を追いかける。』

「理想って、何ですか?」
『理想を追いかける。』という文の意味が分からなくて、僕はマスターに質問する。
パソコンを立ち上げてサイトを眺めていたマスターは、僕の方を振り向く。
「こうだったらいいなって、思うこと」
そう言って、にっこりと笑うマスター。
「・・・カイトって、何か理想あるの?」
「え、・・・理想ですか」
こうだったらいいなって、思うこと。僕の中に、あるのだろうか。
「あ、難しく考えなくていいから。なんでもいいからね」
マスターは、考え込む僕を優しく見守る。・・・あ。そっか。
・・・僕が、こうだったらいいなって思うこと、あった。
あまりに近すぎて、気づかなかった、たった1つのこと。
今更気づくなんてと、僕は自分のふがいなさを嘆きたくなる。
「・・・マスター、分かりました」
「お、言ってみて」
「・・・・・・これからも、ずっとずっと、僕のこと見ていて下さい」
「・・・」
マスターの目が、まんまるに変化する。それから、
「・・・・分かった。カイトって、可愛いからねー。・・・やっぱり、あの人に似ているな」
元通りの口調に、少しだけ嬉しさを織り交ぜた、ような気がする。
「ま、僕は理想を追いかける、ことはできませんけど」
「何で?・・・他のこととかでいいと思うけど」
「・・・そうですね」
そう言いながら、僕は新たにもう1つ理想を見つけた。


・・・マスターのために、歌うことを。



ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【マスカイ】 イメージ課題小説書いてみた。 【その1とその2】

こんにちは、もごもご犬ですこんばんは!
今日も雨・・・でもいつかは晴れるはずー。

さて、今回はとある文章からマスカイを連想したので書いてみました!
楽しかったです。いつもは、切ない系が多いので、たまにこんなほのぼのとしたものを書くと、ほっとします^^

今日は、溜まった作品投稿日なので(今考えた)、ルーズリーフに書いておいたものを投稿すると思います!←
お楽しみに><

閲覧数:108

投稿日:2010/06/26 13:52:40

文字数:1,148文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました