UV-WARS
第二部「初音ミク」
第一章「ハジメテのオト」
その18「会議」
桃がテッドの家を出る数時間前、あるビルの一室で男たちが会議をしていた。
そのビルは割りと大きな街の中心にあり、すぐそばに新幹線の駅もあった。
会議の場所は古びた事務机が並べられていて、男が二人、折り畳み椅子に座って机に向かっていた。
扉を開けて背広姿の男が入ってきた。
「遅くなってすまん。始めよう」
男達は着席したまま会釈をした。
背広姿の男が司会を始めた。
「まず、あの『若作り女』のジャミング方法がおぼろ気ながら分かった」
男二人は身を乗り出した。
「課長、それは?」
課長と呼ばれた背広の男は内ポケットからICレコーダーを取り出した。
二人の男の視線がそれに集中した。
「会議用に編集してきた。ちょっと聞いて欲しい」
スイッチが押され。桃の声が流れた。
「上手くいったら、お話ししますね」
これを聞いて、二人の男の若い方が声を出しそうになった。もう一人の男の制止がなければ声が重なるところだった。
「スイカ二個付けますよ」
課長 は停止ボタンを押した。
「今の違いが判る者はいるか?」
若い男は首を振った。
「後の方が抑揚が少ない、とか…」
課長は右手の親指を立てた。
「よく気付いたな」
「ですが、文脈上、というか、その場の雰囲気や気分で変わる範囲の違いだと思いますが」
「これを見てくれ」
課長はノートパソコンを開いて、二つのグラフを示した。
「これは後の方の『ます』の波形だが、『ま』と『す』の間に母音が二つあることが判った」
「つまり、後の方は合成された音声だということですか」
「そうだ。我々の盗聴方法は、対象物の震動を光学的に測定して音声を抽出するやり方だが、あの若づくり女はそれを逆手にとって、…」
「別の音を聞かされた訳ですか?」
若い方の男は驚嘆の声を上げた。
課長は黙って頷いた。
「何か証拠が出たんですね」
「うむ。間接的な証拠ではあるが、ある生活音が皆無だったことがわかった」
「それは?」
「トイレだ」
「え? トイレって、普通、防音設備が整っているんじゃ」
「そうかもしれんが、トイレのドアを閉める音ぐらいは拾えてもいいんじゃないか」
「なるほど」
課長はノートパソコンを閉じた。
「それで、お客さまに確認した。その時間がかかって会議に遅れた。申し訳ない」
「お客さま、依頼人のことですね」
課長は頷いた。
「ランクアップですか」
課長は再び頷いた。
「ああ。だが、今回は下請けに出す。我々は顔を知られているからな」
「下請けには何と指示を出したんですか」
「目標に接触して情報を引き出す」
課長はそう言い放つと、上着のポケットから缶コーヒーを出して飲み始めた。
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