それは誰もが楽しみにしている夏のこと。
それは忘れもしない、できればあのままであって欲しかった大切な夏の思い出。
――夏と言えば――
夜の夏風。
ちょっと外の空気を吸おうと部屋の窓を開けて、外に顔を出したその時だった。
「レェ~~ン!!!」
「ふにゃぁあああ!!!――――」
実はつい数分前。
夏ということで神社の近くにある墓場に仲間と「肝試し」をしていた時の事だ。
肝試しを提案したのはカイト。どこかヘタレ気質で、時々バカイトとも呼ばれている。
それで誘われて一緒に来たのが、何故かほんのりと顔が赤く染まっているメイコ姉、少し強がっているバイリンガルのルカ、武器にネギを備えて怖がっているミク、そして「幽霊なんていない!」とか言っているが以外と信じている俺レン、の5人全員だ。
「こ、ここから二手に分かれよう!」
言ったのは危なっかしく歩くメイコを心配して支えてあげているカイト。
二手に分かれると言っても、いつもの感じで組む感じなのですぐに決まった。しかし、何だかメイコの様子がおかしいのでそこだけ違った。
「それじゃあ、こっちは私とミクで行くから、レンは二人のことよろしくお願いね。」
「ホントに大丈夫なのか?ミク姉かなり怖がってるけど。」
「大丈夫よ!わ、私がついているもの!」
「ルカ・・・!」
「・・・ホントに?」
「いいじゃないのよ、レン。二人が大丈夫って言ってんだからぁ~♪」
「めーちゃん;;」
「ほら、早く支えてあげて。こっちは大丈夫大丈夫♪」
「うん、大丈夫大丈夫。」
「分かった。」
「じゃあ集合はさっきの入り口辺りで。」
「OK。」
そして、わかれた二つのグループはそれぞれ墓場の一番奥に生える木の下に置かれた“お札”を取りに向かった。
しかし、予想していた事態がレンのチームで起こった。
「うぅ~目が回る~~。」
メイコがとうとうお酒の効果に負けてぶっ倒れたのだ。それも、顔がリンゴのように染まりきっている。
「メイコ姉、来る前に何飲んできたの??」
「お酒・・・。いいじゃない、水分補給するなら何だって同じでしょ!!」
「全然違うよめーちゃん!;;」
その時、びゅううっと嫌に湿った風が吹いた。
雲の合間から不気味な月がこちらをのぞき見、遠くにあるはずの木々はガサガサと怪しく見え、笑っているようにも聞こえる。そして、すぐそばにある墓石からも今にも何か出てきそうで・・・。怖い。
「うぅっ・・・。ど、どうするよ?」
「レンだけでも行けない、かな?」
「えぇ?!こんなとこ一人で行けっていうのか?!」
「いやぁ、用意したお札なんだけど、実は本物買っちゃって。」
「なんでわざわざ本物なんか。」
「ちょっとしたリアル感を求めてw」
レンは呆れて溜息をついた。
「・・・ってか、明日の明るいうちに取りに来ればいいんじゃねぇの??」
「それじゃあ肝試しにならないよ。それに、うっかり好奇心で近づいちゃった幽霊さんに呪われたら困るし。とにかく今取りに行って欲しいんだよ。」
「自分で行けばいいのに・・・。」
「酔っためーちゃんは危険だよ?頼むよぅ;;・・・もしかして、何気に信じてるの?お化け。」
「そ、そんな訳ないだろ!!幽霊なんていないって!」
「じゃあ・・・!」
しまった。と、まんまと乗せられたレンは仕方ないと溜息をついた。
結局一人で行く形となったレンは左右に立ち並ぶ墓石や今にも誰か驚かせて出てきそうな雰囲気に少し怯えながら奥へ進んで行った。
「どうしよう・・・。マジで何か出てきたら逃げ出しそう・・・・。っていうか、何でこんな時にお酒とか・・・。はぁ・・・。うん、テレビの見過ぎだな!これまでにいるとか色々聞いてきたけど、まだ見たことないもんな!うん、ちゃっちゃと終わらせてとっとと寝よう!」
怖さを紛らわすために自分に言い聞かせながら歩いていたその時、突然目の前にびっくりするほど大声をあげながら走ってきた人と勢いよくぶつかった!
「にゃあ!!」
思いのほか遠くに吹っ飛ばされ、墓石に頭を打ってしまった。ボトッ、と供えてあった紫色のものが落ちたようだが、それよりも打った頭の部分が痛かったため気が付かなかった。
「何々?!化け猫?!」
この時に出会ったのがあの窓辺から突然やってきたちょっと変わった幽霊のリンである。ちなみにまだレンは幽霊だとは気付いていない状態。むしろ、偶然いた普通の女の子だと思っていた。
「化け猫?・・・そうだ!!猫!」
プカプカ浮いていた足を地に着けてから、リンは膝に手を当て、姿勢を低くしてレンの目の前に立った。
「ねぇ、化け猫!ちょっとやって欲しいことがあんだけど!」
「へ?ば、ばけ猫?どこどこ?!」
「何とぼけてんの?いいから、さっさと立って!協力して!」
強引に立ち上げられると手首を掴まれたまますぐ、普通じゃないスピードと馬鹿力で引っ張られていった。この時二人とも同じように地を走っていたはずなのに、運動能力の問題なのかそれ以前の問題なのか、レンの方が明らかにヘトヘトになっていた。そう長い距離は走っていないはずだが。
ふらつくめまいの中、気が付くとある一本の木の下にいた。
「これよ!」
リンが少し警戒した様子で指差したのはあのカイトが用意した一枚の、いかにも怪しいお札だった。一体どこに行ったら買えるものなのか、かなり本格的なものに見える。
「バカイト・・・。」
「あれ?さっき二枚あったんだけどなぁ?ま、いいや。化けヌコ、あとこれだけだからビリビリに切り裂いちゃって!」
「え?切り裂く??」
「もちろん!だってこれ、さっき近づいただけで危うく成仏しそうになった危険物よ?早く何とかしないと・・・。」
確かにある一定の距離からは近づいていない。かなり効くようだ。・・・あれ?でも人には効かないはずじゃ・・??
「じゃあ、持って帰るよ。ちょうど取りにきたとこだし。」
「えぇ?!平気なの?」
「別に?俺“人間”だし。」
「・・・え?」
リンは驚いて、ポカンとした顔になった。
「あと俺、“化け猫”じゃなくて、『鏡音レン』っていう名前あるから。」
「え・・。で、でも“にゃあ!”って。」
「き、気のせいさ!」
その時、ポケットのケータイがブルルル、と鳴り出した。バカイトからだった。
「じゃあ帰るよ。変なお札は見つかったし、ここまで連れてきてくれてありがとな。んじゃ!」
レンは来た道を戻って行った。
「・・・・レン。かぁ♪」
で、今に至る。
「お前やっぱり幽霊だったのか!!」
「そんなとこでーす!♪」
「何でお前がここに?!」
「そ、それは、えーっと・・・。さっきの弁償。」
「弁償?俺何か壊したりした??」
「違うわよ!と、とにかくさっきホントにびっくりしたんだから!だからしばらくここに居付きます!」
「ええぇぇ!?;;」
「私はリン!いきなりだけどよろしくお願いしま~す!♪」
「勝手過ぎだろ!」
そんなこんなでかわいい幽霊ちゃんが居候することになりましたとさ。
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