いつか忘れた詩の話をしよう
私はまだ口遊めそうだから
ただ、過ぎ去って征く今日を
思い出せるようにと

夜降(よぐた)ち落つ背(そびら)が愛おしいのだ
霽月(せいげつ)が差す光は透過して
今、戛々(かつかつ)と刻むように
足取りは重く成って

綻び続けた、終わる事も無い儘
頓(とみ)に接いだ言葉は空っぽだから
舞ったようだ

餓(かつ)え痩けた終末の祈りを
神様は知らないようだ

さよなら、ライラ
ありふれた夢で凪いで
悲しみをひとつ、ひとつ
零れた落涙は懶(ものぐさ)さと
混ぜて誤魔化すように生きて仕舞うわ

雨に濡れたワンダー
死に征く総てを視せて
篠突く音を掻き消して
風が流る迄、此処で待つわ
誰も知らない詩を奏でながら

仮初の愛が美しいなんて
幾(ほとほと)と呆れて仕舞うわ
去った青い鳥は寄る辺を失くし
翅も癒せずに泣いていた

終夜(よもすがら)聴こえた贋作の祝詞(のりと)が
思考の外で亦候(またぞろ)と峙(そばだ)ち
視界が濁って征く今日を
生きるのは苦しいな

薄汚れた紙片に書き留めた儘
忘れた言葉許りを追い掛けて
今を失って征くようだ
其処には誰も居ないわ

形を失くした襤褸屑(ぼろくず)みたいな
汚い快楽(けらく)が救いだったのだ
疾うに私は卑しいから
随分、人らしく成ったでしょう?

矍鑠(かくしゃく)のタリア
廃れた喜劇を観せて
終幕迄ひとつ、ひとつ
雨は骸を厭わないから
些細な事と思い込んでみるわ

忘れられたようだ
私はもう居ないわ
烏有(うゆう)に帰した言葉と
愛が苦しみと変わる迄に
私の詩を忘れられるように

どうも怖いからさ
怖いからさ
瞼の裏に寫るならどうか
美しい夢を見せて
そんな、そんな
淡い詞を綴っていた

さよなら、ライラ

終わりにしようか
こんな世界の総て
私だけの此の夢で
またね
もう口遊めないから
悲しみを思い出すこともないね

積み上げた賛歌
幸福に似せた劫火(ごうか)
不自由に今も縋れ
悲しいんだ、私論理、正しかった筈の言葉が
消えそうで奇麗だわ

なんてね

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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ルッカウル/可不 歌詞

ルッカウル/可不 の歌詞です。

閲覧数:1,235

投稿日:2024/04/11 11:56:30

文字数:871文字

カテゴリ:歌詞

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    霽月(せきげつ)となってますが、正しくは「せいげつ」と読みます。失礼しました。

    2022/09/27 16:41:59

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