手を伸ばせば、届く距離。
でも僕は、
出しかけた左手を、
ぎゅっと握り締めた。
君を傷付けるくらいなら
僕は心を殺せる。
その先に、手元に、
何も残らなくても
君の笑顔だけは
最後まで、守ってあげたいんだ。

「友達に、戻ろう」
僕の声は震えていた。
息を飲んだ君は、優しく微笑んだ。
「元気で、君が笑っていてくれたら、僕は...」
...情けない僕は、
続く言葉を、かみ締めた。

大切に、してたつもりだった。
二人で買ったお揃いのグラスに、
二人の好きな曲と、二人の好きな時間。
壊したのは、僕なのかな。
後悔ばかりが胸に残る。


君の為なら何でも出来たのに
好きになる程、怖くなった。
"ばいばい"が"さよなら"に変わる日が
僕は怖くて、たまらなかった。

それでも時計は進むから
いつまでも見ない振りは出来ない。
ずっと、手を繋いでいたかったけど
君がその手を放したから...
僕は握り返すことが、出来なかったんだ。

"好きだ"って
"愛してる"って
僕が告げるたびに、君は目を伏せた。
僕の言葉は、もう届かなくて...
君の存在が、もう遠くて...
一緒に居て、笑いあったことさえ
君を苦しめているのなら
いっそ僕を忘れて
僕も、君を忘れられたらいいのに、と思った。
僕が...
僕が、君をもう少し、好きでなければ
こんなに辛いこともなかったのかな
僕は顔を上げて、
君に涙を見られるのだけは嫌だった。

「友達に、戻ろう」
僕の声は震えていた。
息を飲んだ君は、優しく微笑んだ。
「元気で、君が笑っていてくれたら、僕は...」
「ううん、僕も」
...女々しい僕は、
続く言葉を、かみ締めた。

本当は、期待してた。
いつか君は、また昔みたいに
僕に笑いかけてくれるんじゃないかって。
でも、気付かされたんだ。
冷めた、君の目に。
君の中に、もう僕は"いない"んだってことを。

目の前の事実を認めたくなくて
傷付けて、傷付いて...
僕はただ
君の隣にいたかっただけなのに
優しい君の顔が
段々霞んでいくのは、なんで?

心臓が痛くて、
もう耐えられないって思うのに、
それでも君が好きだよ。
でももう駄目だ。
とっくに舞台の幕は下りてる。
僕が、終わらせなきゃいけないんだ。

"好きだ"って
"愛してる"って
言いかけた言葉を、僕は飲み込んだ。
わかってたんだ、
どんなに気持ちは重くても
君との別れに、胸が締め付けられることぐらい...
わかってたのに...
でもその痛みは
僕を殺しそうな程、痛くて、痛くて、
これから歩いて行く
"君のいない世界"は
どんなに真っ暗で冷たいんだろうって
君の言葉を聞いて、思ったんだ。

守れていたのかな
心が陰って行く、君の...
僕の大好きな君の笑顔を
僕は守れていたのかな
最後に...
君の笑顔が見たかったな...

「友達に、戻ろう」
僕の声は震えていた。
息を飲んだ君は、優しく微笑んだ。
「元気で、君が笑っていてくれたら、僕は...」
「ううん、僕も」
情けなくて、女々しい僕は、
今にも泣き出しそうだったけれど
「僕もきっと、幸せでいられるから」
僕は精一杯の笑顔で、"さよなら"を告げた。

これから歩いて行く、
"君のいない世界"が
どんなに真っ暗で、冷たくても
僕は今でも君が好きだから
君の幸せの為なら
僕は、心を殺すよ。

さよなら
愛した、
今でも、愛している君へ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

☆Just be friendsを短編小説にしてみた -side:boy-

こまんさんの、ピアノアレンジ(sm7692695)を聞きながら読んでくださるとうれしいです!
にこ動でもあげてます。http://www.nicovideo.jp/watch/nm9718469

閲覧数:166

投稿日:2010/03/23 18:52:46

文字数:1,426文字

カテゴリ:その他

オススメ作品

クリップボードにコピーしました