――少年少女、前を向け。










≪チルドレンレコード Ⅲ【自己解釈】≫







 とあるコンサート会場では、アイドルがフリル死でもするのかと言わんばかりのフリルをつけた格好で、歌を歌っていた。
「少年少女前を向く~」
 彼女の歌一単語だけでも、歓声が上がる。アイドルは大変だ。
 突飛な世界でも、彼女は一時はプレッシャーに押し負けることだってあったはずだ。
 でも、彼女は今ステージに立ち、歌っている。
 アイドルは、大変である。


**

 そのころ。
 正確には八月十四日の午後五時くらいのことだ。
 パンザマストが町中に鳴り響き、そんな中パーカーを着た少女が誰にも気づかれることなく(気づこうともせず)走っていた。
「……ったく、カノはどうした?! あいつ一体何やっている?!」
「カノだったら夜の街で決めポーズを」
「よーしあいつ作戦終わったら絶対生かさない」
 ――とこんな冗談も言ってるようで、夕日が沈むその中を走ると、それすらも希望論と勘違いしてしまう。
 カゲロウ計画。
 キドも内容は知らない、その計画を彼女たちは阻止しようとしている。
 しかし、それをどう阻止すればいいのか、実際にはこれしかわかっていない。
『午後五時過ぎにあるトラック事故を回避せよ』


**

 また、轢かれた。
 やりなおす? やり直し? ヒビヤは考えた。
「ツレモドセ」「ツレモドセ」
 世界の声が彼に聞こえる。
 でも、また救えなかった。彼は泣くほどの涙すら枯らしていた。
 空を見ると――三日月が赤く燃えていた。


**

「マリーちゃんがなんとかしてる……なら私も頑張んなくちゃ!!」
 電子の波を華麗にエネは泳ぎ、目的地へ駆けていく。
 電子の海とは、滑稽なもので泳ぐことというよりかは浮くことしか出来ない。現実世界では有り得ないが、この世界では常識に近い。
 彼女の目的は暗号――コードを0――無効にすること。たったそれだけでも何億桁あるか解らないコードから特定箇所のみを無効にすることは人間ならば不可能に近い。
 だが、彼女ならどうだろう。彼女は――電子の海に浮かぶAIだ。こんなことは得意分野、朝飯前に過ぎない。
「ご主人も頑張ってればいいんですけどね、これで」
 誰に言うでもない、独り言を呟きながら、彼女は作業を再開した。

ライセンス

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チルドレンレコード Ⅲ【自己解釈】

長い・・・w

本家:http://www.nicovideo.jp/watch/sm18406343

閲覧数:1,078

投稿日:2012/07/21 19:01:40

文字数:982文字

カテゴリ:小説

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