メトリオバケと鬼ごっこ と検索して前話を読むこと推奨です。




そしてちらりと今頃大青を見ると本当にぐったりしている。というか、もうこれお迎え来てんじゃね?
「大丈夫・・・じゃないよな」
「・・・」
何も喋らないが、息はしているようだ。
さて、時間はないのでざっくりと説明しよう。大青は昔からの友達で、いわゆる勇気あるヘタレ。オレが虐められているところを助けてくれて、逆に大青がいじめられて今に至る。
そういえば、ろくに恩返しもしてなかったっけ。いつも遠くから見ているだけしか出来なかった。
「よし!」と気合一発入れたはいいものの・・・まずは大青を何とかしなくちゃだな。
「えっと、確か大青は猫が好きだったけどこんな世界に猫は・・・」
「ニャー」と、都合よくどこからか声が聞こえた。
「いた!えっと、大青?!」
大青の様子を見ると、変わりなくぐったりしていて返事はない。
「とりあえず・・・待て!」
そう言い残してオレは猫を探しに行く。
そして数分後、はっきり言って探し疲れた。というか持病の頭痛で頭が痛いから休んでいた。
「・・・猫ー、猫ー、猫ー、おいでー、って呼んでくるなら苦労はしな」
「ニャー」
「呼んだら来るんかいこんちくしょう!」
チョコンと膝の上に乗る、可愛い黒猫。この猫で大青を癒す前に、自分が癒されたい。
というわけで、これでもかと言わんばかりに触りまくった。すると、膝の上から降りてしまった。
「あ、待って!」と言った瞬間ぼわんと煙がたった。
「・・・は?」
唖然としたオレの目の前には、黒い猫耳と黒い猫しっぽをつけた男性。
「もしかしなくても・・・さっきの猫?」
「ベタベタ触るんじゃねえよ、そぉいのくせに」
「もはやそぉいの名前が定着してる?!」
ペロペロと毛づくろいをする黒猫。黒猫が女性だったら、なんだか萌を感じてよかったのかもしれない。
「・・・小さな男の子の方が良かったか?」
考えを読まれているようだ。
「いや、そういうわけでもないけど、なんか高身長の男・・・てか見た目成人しているような人?が猫耳ってのも・・・」
「・・・ニャー」
「そういうあざとい萌はいらないから」
「・・・」
またシベシベと、毛づくろいを始めた。
「・・・目、いるんだろ?」
「え?あ、いるいる!」
切り替え早いな。
「持っているのか?」
「ん」と、言われて見せられたのは、確かに目玉だ。それが大青のかどうかはわからないけど。
「あ、ありがと・・・」と言って取ろうとした。けれども黒猫は、目玉を持った手を後ろに隠してしまった。
「ゲーム、やろうぜ」
咲夜と言いつつ、遊びたがりの暇人なのかここの住人は。ドヤ顔なのがまたムカつくが、逆らってる時間もない。
「いいよ。何のゲーム?」
「シュビババビババーン」
「日本語でおk」
「・・・」
黒猫は少し何かを考えたあと、口を開いた。
「今から目玉を持っている手を動かして隠すから、右手と左手どっちに入っているでしょう的な」
「ああ、3つのカップのうちに1つだけ玉を入れて、その3つのカップをぐるぐる移動させる。そしてどこに玉が入っているでしょうって当てるやつか」
「的な」
「ハイかイイエで答えてくれ」
「ではでは早速、シュバーンゲームやるぞ」
おいゲームの名前変わってんぞ、とはもう突っ込まない。
しかし、オレのこの目はそういうゲームは得意分・・・。
パーンといい音が聞こえたと思ったら、それは黒猫に頬をビンタされた音。
「なんで!」
「いや、ジッと見てるから。見られるのは嫌」
「叩かなくてもいいだろ!」
「叩いたすきに行うのがシュバンゲーム」
むしろオレがお前を殴りたい。
「さ、どこ?」
「・・・」
分かっている。ふざけちゃダメなんだ。でもオレはそういう可能性というか、あえてふざけるとどうなるかとか、そういうのが見たいタイプなんだ。
絶対押すなと言われたら押したくなる、絶対開けるなと言われたらあけたくなる、絶対間違えるなと言われたら間違えたくなる、オレはそういう人間なんだ。
ゲームのやり込み要素は全部やる!選択肢もバッド含めて全部選択する!的な人間だからあえてここは・・・。
「お前の口の中・・・とか?」
「・・・」
あー、無言。だめだこりゃ。・・・どうしよ。
「ほー(おー)、ふぇーかい(正解)」
「うへぇあ!?」
奇声を発したのも無理はない。黒猫が口を開けるとそこにはギョロリトした目玉が。
「あー・・・・・・うぇっ・・ぐっ・・ふぅ」
「あーはははははははははっ!」
勘違いしないでくれ。頭は痛いが、頭おかしくなったわけではない。
黒猫がゴボッと口から目玉を吐き出して、オレの手の上に乗せたからあんな声を出したわけで・・・。
「うー!ベトベトヌメヌメデロデロプニプニだーはははははー!!」」
別にトチ狂ったわけじゃない。手の上の感触が、気持ち悪すぎるんだ。
「あーはははー!」
もう半泣きだ。しかし、そんな風にパニックになってて気づかなかった。いつの間にか、黒猫がいなくなっていた。
「あ・・れ?どこいった?てか次何すればいいんだろう・・・」
残されたのは、手の中の目玉一つ。
「それにしても・・結構でかいんだな。野球ボールくらいか?」
でもなんだろう、見ていると何かを思い出すような・・・いや、どうせロクでもない事なんだろうけども・・・。
「シュウマ」
ふと、近くで誰かに名前を呼ばれた。
それは、聞き覚えのある声だった。

ライセンス

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メトリオバケと鬼ごっこ その2 猫

没設定
シュウマは初期はもっとツッコミキャラでした。
今は心の中で突っ込むことが多いですね。

閲覧数:56

投稿日:2014/07/18 23:34:00

文字数:2,249文字

カテゴリ:小説

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