僕がいるから、


「ゆっくりお休み?」



夢喰い白黒バク 解釈1  本家Nem様 sm14926860



有る国、在る村で奇妙な噂がたったそうな。
何でも、嫌な夢を消し自分の好きな夢を余るくらい見せてくれるらしい。
しかし、誰も見たことは無い。
どこから来るのか、そしてどんな姿をしているのかさえ。
そんな噂に飛びついた、一人の少女がいるそうな。

「あーあ、夢喰い白黒バクってどんな姿してるんだろうなー!」

名前をミクという。
緑の髪の、好奇心旺盛な少女だった。

「誰かあった人はいるのかなー。噂が立ってるんだから、きっと見た人が居るんだよねー」

しかし、今日も夢喰い白黒バクについては、何も知ることは無かった。
そして、約1年と半年。夢喰い白黒バクの噂はまだ少し話されていた時まで、時は動く。

そのころミクは、夢喰い白黒バクの事など、とうに忘れてしまった。
そして、約1年と半年の間で、ミクの性格は変わってしまった。
親達が、事故で死んでしまったのだ。
周りの皆が、必死に励ましたがその成果は出ず、
暗い性格になり、家から一歩も出なくなった。



「・・・・・・・・・・」

ぼんやりと、墨を塗りたくった様なクマのついた目で満月を見る。
今日は、特に眠れなかった。
いや、眠るのが怖かったと言う方が正しいかもしれない。
夢を見るのだ、毎日毎日、親が死んだ夢を。
その夢を見るのが怖く、夜も眠れやしない。

「・・・・・あぁ。夢喰い白黒バクがいたら、私の嫌な夢を食べてくれたかな」

と、言った後少し目を閉じて、また開けた。
すると、目の前にスーツ姿の少年が居た。
「呼んだ?」
「っ!?誰、ですか・・・!?」
「ああ、驚かしてごめんね。僕は夢喰い白黒バクって言うんだ。長いから、バクでいいよ」
「え・・・・バクって・・・」

頭が混乱する。
噂でしか聞いたことの無い、ましてやもうとうの昔に忘れた事が。
突然、目を閉じている間に、姿を現したのだ。

す、とミクに近寄り目の下、つまりクマの部分を指でなぞった。
「あーあ、こんなにクマができちゃって。眠れてないの?」
「っ!?や、やめてくださ、い」
「そんなに震えなくても大丈夫だよ」

ふ、と優しい笑みを零す。

「何で眠れないの?」
「・・・怖い、夢を見て」
「そういうことか、じゃあ僕が全部食べてあげよう!」
「・・・・え?」
「でも、約束してね。----を-----が満ちたときに全部僕にくれるって」
「約束する・・・いつまでも眠れないのは嫌だ・・・っ!」
「じゃあ指きりで約束だ」

満月の夜の下、指きりで約束した。




すうすう、と静かな寝音が聞こえる。
バクが、静かに眠ったミクの頭を撫でる。

「あーあ、約束しちゃった。この子も可哀想だなあ」

舌をぺロリと出し、

「まあ、僕は夢を食べれるから別にいいや」


バクは酷く黒い笑みを浮かべた。



                                   

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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夢喰い白黒バク 自己解釈1

NemP様の「からっぽのまにまに」という歌を自己解釈で書いてみました、第一弾です。駄文ですが、よろしければ読んでみてください。

閲覧数:569

投稿日:2011/07/24 22:00:17

文字数:1,257文字

カテゴリ:小説

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