新学期が始まって、学年もクラスも新しくなった。
せっかく慣れてきたクラスの子とは全員離れ離れ。
大好きなレンともクラスは離れて。
全然馴染めないまま毎年恒例の5月の演劇祭の季節がやってきてしまった。
HRは全て演劇祭の話し合い。
私に声がかかるのは劇の主役。
主役といったらクラスのほとんどと関わらないといけないポジション。
冗談じゃない。
誰ともまともに口聞いたこともないのにそんな役ができるわけがない。


「いやいやって・・・少しぐらい協力できないの?」

「いや、私はそんなことしたくない」

呆れたクラス委員長の溜息が耳に届く。
顔はそれなりに可愛くて人気者。
同い年の子からもミク姉と呼ばれてみんなに慕われる存在。
私からしてみれば誰にでもいい顔をする八方美人にしか見えない。

「そういう言い方よくないと思う。もう少し周りに・・・」

「いやなものはいや、しつこく強制するのはどうかと思うけど?」

別に誰に嫌われたってかまわない。
私にとってどうでもいい人にわざわざ媚なんか売る必要なんかない。

「ホント、レンくんと大違いね。こんな姉弟がいたらレンくんも大変でしょうね」

「アンタみたいな上からしか物が言えない姉弟ができるよりはマシだと思うけど?」

「そういうことを言うからみんなに嫌われるんだよ!!!」

顔を真赤にして怒るクラスメイトを目を細めながらなんとなく思い出す昨日の放課後の出来事。




「・・・。」

帰ろうと思って下駄箱まで来たものの、靴が見当たらない。
代わりに入っていた汚い字で書きなぐられたように書かれた紙一枚。

「シネ 存在自体がウザイ」

はいはい。
幼稚なイタズラ。

そう自分に言い聞かせて上履きのまま岐路についた。
悲しくないといったら嘘になる。
いつも意地ははってみるものの、こういうことをされて傷つかない人間なんかいないと思う。

帰り道、雨が降ってきた。上履きの生地では雨が靴の中まで入ってきて。
冷たい。
傘なんか持ってない。
雨が降るせいで顔がびしょびしょになった。
うん、これは雨のせい。





「もしかして昨日・・・。」

「昨日何!?」

「・・・なんでもない。」

なんでもない。
だって言ったところで何がどうなるわけでもないし、委員長やったと決まったわけでもない。
そう思った瞬間にHR終了のチャイム。
話が進まないままHRも終わり、今日の話し合いは保留で終わった。

下駄箱に進のが嫌で少し足が遅くなる。
靴を失くしたという言葉にお母さんは少し怒ってた。
今日の靴は、2年生に上がる時にレンとお揃いで買った大切な靴。
買ったばっかで学校には絶対履いて来たくなかったのに。

「・・・っ!」

昨日と引き続き靴がない。
ダメ、今日の靴は大切なの。

学校中を走り回って、ごみ箱をいうごみ箱を探して回る。

ない・・・。
ないないない・・・。

どこにもない・・・。

どれぐらい探したんだろ。
大事なネイルした爪が剥がれる。
胸がぎゅってなるぐらい痛い。
ごみ箱をあさるのに抵抗なんかなかった。
けど・・・ない。

体育館の後ろ、焼却炉。
ここにだけはあってほしくない。
ぎぃっと鉄の扉の開く音。
不安でドキドキする心臓。
それをかき消すように次に襲ってくる絶望感。


「・・・っあった。」

靴を焼却炉から拾い上げ、ぎゅっと抱きしめたら。
もっと心臓が痛くなった。
しばらく、動けなかった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

ありがとうの続き  -第一話-

初めて投稿します。
学生パロディを書いてみました。
まだ続きますが・・・。
各キャラのイメージを少し違うかもしれませんが、
できる限り一生懸命書かせてもらいますので温かい目でみてもらえたら幸いです。

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閲覧数:190

投稿日:2009/04/03 19:02:25

文字数:1,439文字

カテゴリ:小説

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  • 秋徒

    秋徒

    ご意見・ご感想

    初めまして!
    何やらまだまだ被害にあいそうな予感が…こういう状況は、真剣にどうしたらいいか分からないですよね。とりあえずリンちゃんに頑張ってほしいですっ!
    ハッピーエンドを祈りつつ、次回も楽しみにしてますw

    2009/04/03 20:05:43

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