改札を抜ける人波に
春の匂いが混ざっていた
少し大きめのトートバッグ
抱えたまま立ち止まる駅前
「また明日も頑張れます」
そんな言葉を見つけた夜
画面越しに届いた声が
なぜだか胸に残っていた
採用通知の向こう側で
春を待っていた人がいた
名前も知らない誰かの未来が
静かに動き出していく
僕らは数字だけじゃなく
不安や希望を見ている
履歴書の白い余白に
きっと夢が隠れてる
終電間際のオフィス街
自販機の灯りが滲んでる
冷めたコーヒー飲みながら
言葉を何度も並べ替えた
どんな会社なら笑えるか
どんな場所なら続けられるか
そんなことを考えてたら
いつしか朝が近づいていた
誰かの挑戦を支えるたび
少しだけ自分を好きになる
遠回りばかりの毎日も
無駄じゃなかったと思えた
採用通知の向こう側で
春を待っていた人がいた
その瞬間のために今日も
僕は言葉を磨いている
ビルの隙間を吹き抜ける
柔らかな風を感じながら
生きているってこういうことかと
少しだけわかった気がした
新しい靴を履くように
人は未来へ歩いていく
その背中を照らせるなら
この仕事も悪くないね
春を待っていた人がいた
そして僕も待っていた
誰かと誰かが繋がるたび
街に小さな灯りが増えていく
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