背負つてゐるギターが夕日を照り返すころ
真つ赤な空を飛んで買ひ物に行く人がゐる
「そこに行けば癒される」なんていふ場所こそが
働くことは大変なんだと教へてくれるんだ
自分もどこかへ行かうと思ふことがある
でも言葉が通じることが一番だつた
夢の中で扇のやうな葉つぱが揺れてゐるのを見たけれど
立つてゐたのが誰なのか今も思ひ出せない
新しく買つたノートに何も書かなかつたのは
聞いたことのある土産話が退屈だつたからだ
上空から撮影された写真を持つてゐるのに
私は歩いてきましたよといふ顔をしてゐる人ががゐる
僕は帰りの電車賃くらゐは払つてやりたい
地面に書いてある飛行機の絵にたこ糸を書き加へたい
みんな何に感動してるんだらう
涙を流すほどのその感動の正体はなんだらう
ものを考へる人間が誰ひとり出てこない絵本の中の
狂言回しと街の背景そのもののやうな人ごみの中
路地裏に集まつた世界の断片を手掛かりに
暑いとも寒いとも言へない風の吹く国を想像しようとしてゐる
みんな終りのない休暇に夢中になりすぎて
全然をかしいとも思はないけれど
とてつもなく大きな力がここには働いてゐて
人と違つた答へを血眼になつて探してゐる間に
また新しい問ひが次から次へと増へていくんだ
きつとないものねだりの田舎には
一番伝へたいことが隠れてゐる
毎日歩いてゐるのに歩き慣れることのないその道に
冷たくなつた景色をひとつだけ貼り付けて
明日 思ひ出せない今年の初夢を思ひ出しに行かう
読めなかつた文字も読めるやうにして
その場で思ひついたことを言葉にできるやうにして
ご飯を食べる一分一秒も大切にして
心から言へるやうに ああ おいしいなあ と

何事もなかつたかのやうに歌は歌はれ
何事もなかつたかのやうに酒が酌み交はされる
何事もなかつたかのやうに炊飯器は働き
何事もなかつたかのやうに誰かが笑ふ
あの日五時間道に迷つたがために
僕は傷だらけになり
あの日三つ目の駅で降りたがために
僕は今天丼を食べてゐる
時計の針は七時二十三分をとつくに過ぎ
僕はついに言ふ ああ おいしいなあ と

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傷だらけの天丼

閲覧数:61

投稿日:2016/10/05 20:03:04

文字数:881文字

カテゴリ:歌詞

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