段々麻型 手拭い文様
だらりと垂れた娘帯
可憐な娘は15歳
八百屋お七は町の花
ある日 八百屋は燃え上がり
娘もろとも焼け出され
新たに家が建つまでは
檀那寺(だんなでら)に身を寄せる
そこで会ったは吉様は
とても綺麗で美しく
墨する後姿さえ
白梅の様に美しい
大人の目を盗んでは
本堂の裏や庫裏の側
人目を忍び夫婦遊び
段々麻型 手拭い文様
だらりと垂れた娘帯
可憐な娘は16歳
八百屋お七は吉の花
やっと八百屋も再建し
親の肩も軽くなる
だけど娘は暗い顔
お七の心は重くなる
重い思いを書き連ね
恋しい方へと送っては
返事はまだかと外に立ち
冷える体を抱きしめる
吉様恋しと思っても
16の娘と寺小姓
親が許すはずも無い
心の重さに火がついて
側の俵が燃え上がる
我に返って怖くなり
慌てて太鼓を打ち鳴らす
喧嘩と火事は江戸の華
たちまち辺りは人の山
火を付けたのは娘だと
釜屋の声に引き立てられる
心優しいお奉行様は
娘思って謎掛ける
『お前の歳は十五であろう?』
『いいえ 私は十六です。』
『お前の歳は十五であろう?』
『いいえ私は七夕生まれ 。
生まれにちなんで名もお七。
疑うことなく十六です。』
娘纏うは 乳母の振袖
きりりと巻いた紫の帯
可憐な娘は16歳
八百屋お七は罪の花
馬に乗せられ引き回し
鉄の柱に縛り上げ
足の下から火が付いて
娘は罪を思い知る
高く上った煙に乗って
天に昇ったその先で
夢にまで見た吉様が
水にぬれて立っている
二人そっと手をとって
固く結んだその時に
ジューっと二人の音がした
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