空は今日も灰色だ
私がここに閉じ込められて半年がたった
気がついたときにはほとんどだれもいなくなった

「ハク姉」
しんと静まり返ったコンクリートの牢屋の中で、遠い血縁の彼女は言う
「ボクたちはいつここから出られるの?」
彼女の言葉はコンクリートに反響し、むなしく響く

「ハク」
黒々と穴が開いたかのような暗闇の洞穴の中で、幼馴染の男が言う
「俺たちはどうしてここにいるんだ?」
彼の言葉は暗闇の中に放たれ、黒々とした穴の中に落ちていく

「姉さん」
日も当たらない陰鬱な空気の鳥かごの中で、血縁の浅い少年は言う
「明日には、ここから誰もいなくなるのでしょうか」
少年の言葉は陰鬱な空気に溶け、存在そのものがなかったことになる

誰もいなくなった
女に語りかける者は一人もいなくなった
灰色の仄暗い牢屋の中
今日も彼女はひとりうずくまっている

誰かがくるのを信じて
誰かがこの牢屋から連れ出してくれるのを信じて


ファイル名「弱音ハク」

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スクラップ

ごみ箱ファイルの中の話

こんなに暗いレル初めて書いたでござる

閲覧数:124

投稿日:2010/02/01 16:33:44

文字数:472文字

カテゴリ:小説

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