狼少年の話を知ってる?
ある村に、羊飼いの少年がいた。
その少年は嘘をついて人を驚かすのが大好きで、いつも狼が来た、狼が来たと嘘をついていたんだよ。
村人達は、大変だと武器を持って少年を助けに来た。しかし嘘だから、狼なんていやしない。
怒る村人達を尻目に少年は、ほくそ笑んだ。でもね、ある日、本当に狼が来てしまった。
少年はそれを伝える為に大声で狼が来たと叫んだ。しかし、少年はいつも嘘をついている。
だから、村人は誰も助けに行かなかった。そして、少年は狼に襲われて食べられてしまったという話。
 一度くらいは聞いた事あるんじゃない?
親が子供に聞かせる、嘘をついてはいけないという教訓話だからね。
 まぁ、素直に受け止めるんだったら、確かに嘘をついてはいけないという教訓を含んでいる。
でもね、私はこの話にいくつか気になる点があるんだ。
あなたは気にならない?
 まず、少年は羊飼いだった。だから、狼が襲って来た時、その場には大量の羊がいたという事。
・・・・どうして狼は、羊ではなく少年を襲ったんだろうね。
人間の味を覚えた狼だった?羊に興味を示さぬほどの?
狼は、羊も襲い、そして少年を食べた。
それはないんじゃない?少年は、羊が狼に襲われている隙に逃げられるはずでしょ。
腰が抜けて少年は逃げられなかった?
狼がいつ現れてもおかしくない村に住み、羊飼いをしていた少年が?
不思議に思わない?どうして、少年は狼に食べられてしまったのか・・・・。
 騙されたんだよ。誰に?ってここまで話してもわかんないの?
狼少年は、村人達に騙されたんだよ。少年の嘘が胡散臭くてたまらなくなった村人達によって、殺されたんだよ。狼なんて、最初からいなかった。面白がって嘘をついた少年は、村人という名の狼によって抹殺された。食べられたんだよ。

 何よ、変な顔して。
おかしい?私が?そうね。そうかもしれないわ。
でもね、これだけはおかしくないわよ。
嘘をつくのはよくない、という事。
あなたも、嘘はむやみにつかないほうがいいわよ。
そんなの当たり前?そうね、当たり前ね。
でも、その当たり前が出来ない故にこんな事が起きたんじゃない?
そうだとしたら、村人達も当たり前を知らない?
・・・・もう、いいわ。
これじゃあ、話が終わらないわ。
終わりにしましょう。
はい、お終い。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

嘘吐き狼少年

嘘はよくないですよ。
僕は今までに嘘をついた事がありません。
・・・嘘です。ごめんなさい。

閲覧数:120

投稿日:2012/03/30 17:35:29

文字数:980文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました