『アンダーテイカーと子守歌』

その少女は独りだった。

森の奥深く。凍る針葉樹を抜けた、湖のほとり。
そこはこの国の最果て、死者たちが眠る墓場。

少女は墓守りだった。


彼女には日に二度、日の出と日没に必ず歌を歌った。
死者たちを慰め弔う、哀しく静かな鎮魂歌。
その歌は森を越え、灰色の街中に響いたという。

ある日、その歌声に誘われて、一匹の子猫が墓場に迷い込んだ。
子猫は少女に言った。

「寂しいところだね」

少女は言った。

「寂しいってなぁに?」

物心付いた時から独りだった少女は、寂しいという事が判らなかった。

その日から少女と子猫の共同生活が始まった。

子猫が言った。

「ここは寒いね」

少女は言った。

「寒いってなぁに?」

子猫は言った。

「誰かに引っ付きたいってこと」

そう言って子猫は少女に寄り添った。
少女は初めて温もりを知った。

少女は国中に人から嫌われていた。
墓場に住む少女は、人々にとって死の象徴だった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

アンダーテイカーと子守歌

思い付くままに書いた小説。

もっと見る

閲覧数:222

投稿日:2012/02/17 00:37:51

文字数:431文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました