『アンダーテイカーと子守歌』
その少女は独りだった。
森の奥深く。凍る針葉樹を抜けた、湖のほとり。
そこはこの国の最果て、死者たちが眠る墓場。
少女は墓守りだった。
彼女には日に二度、日の出と日没に必ず歌を歌った。
死者たちを慰め弔う、哀しく静かな鎮魂歌。
その歌は森を越え、灰色の街中に響いたという。
ある日、その歌声に誘われて、一匹の子猫が墓場に迷い込んだ。
子猫は少女に言った。
「寂しいところだね」
少女は言った。
「寂しいってなぁに?」
物心付いた時から独りだった少女は、寂しいという事が判らなかった。
その日から少女と子猫の共同生活が始まった。
子猫が言った。
「ここは寒いね」
少女は言った。
「寒いってなぁに?」
子猫は言った。
「誰かに引っ付きたいってこと」
そう言って子猫は少女に寄り添った。
少女は初めて温もりを知った。
少女は国中に人から嫌われていた。
墓場に住む少女は、人々にとって死の象徴だった。
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