『ネルちゃん、お願いがあるの』
――――――――――何気なく考えた、受験生カルテットを祝うためのセール。
俺は今さらだが―――――このセールは双方にとって大成功だったのではないかと思った。
『ちびボカロを―――――作ってください!』
目の前のちずさんとゆるりーさんに、ロケット砲のように飛び込んで抱きつき、ワンワンと嬉し涙を流すネルを見ていると、ますますそう思った。
因みにこの二人、この二か月でネルに抱き付かれるのは二回目である。
「むふふー。ちびボカロ二体とか腕が鳴るわー。チリンチリン鳴るわぁ」
「お前の腕の鳴らし方はおかしい」
どんなオートメイルでも腕はチリンチリン鳴りません。なるとしたらなんか部品取れてるから危ない。
「こないだのちびメイコさんから色んなデータが取れたからね! 今回はさらに気合い入れていくよー!!」
「燃えてんなぁ……」
意気揚々とゆるちずコンビに条件を聞いていく。
今のところちびボカロに関して収集できているデータは、『性格を指定しないと言語・記憶などが真っ白の状態で活動を開始する』『摂食機能は有している』『摂取したエネルギーは全て無駄なく使える』ということぐらいのようだ。
前二つはともかくとして三つめが常軌を逸脱している。人間がなぜ排泄するか? それは排泄物が消化しきれず利用できず残ったカスだからだ。
つまり『摂取したエネルギーを全て無駄なく使える』というのは摂取した食物を分子レベルまで分解してエネルギーを取り出しているということだ。ちびボカロの体内はいわば小さな核反応炉みたいになっているはずだ。
にも拘らず有害な放射線を放出していたりするわけではない。恐らく体内で何らかの方法で処理しているんだろうが、だとすると恐ろしいほどのエネルギーがちびボカロの体内には蓄積するはずだ。
しかししるるさん曰く摂食ペースは普通の人間よりちょっと長い程度らしい。ちびボカロはどうも相当燃費が悪いようだ。
そう言ったデータをまとめたうえでの製作。ネルも気合いが入っていることだろう。
「2体だから4時間はかかるわ。お茶して待っててちょうだい」
「長い!?」
「あったりまえよ。ちびボカロなんだと思ってんの。じゃねー♪」
驚くちずさんの対応もそこそこに時空転移用PCに飛び込んでいってしまった。
「すごいですねー……あのネルちゃんでもそんなにかかるんですか……」
「あー、うん」
前回のしるるさんの時は3時間だった。今回は2体なのに4時間。
…………速くなってやがる。なんて奴だ。
4時間後。
俺の部屋にはちびルカさんとちびゆかりんの入ったバスケットを見つめてほんわかしているゆるりーさんとちずさん、そして真っ白に燃え尽きてピクリともしないネルがいた。
「ふおおおおおかわいいいいいい!!! ちびルカちゃーん!! かわういいいいいい!!」
『……(逃)』
「ああああ逃げないでちびルカちゃああああああ」
そら逃げるよちずさんちょっとしるるさんのとこに弟子入りして来い。
「……やっぱり小さい子はいいですねえ……」
『……………(にこっ)』
一方静かに見つめているだけのゆるりーさんに対し、ちびゆかりんは興味深そうに見つめてから小さく笑みを返した。
これ相手がどっぐちゃんだったら今頃飛びついているような気もするが……どっぐちゃんが特殊なのかちびゆかりんが特殊なのか。
「ネルちゃん、ありがとうね」
『……………(グッ)』
ゆるりーさんのお礼にはサムアップで返し再び沈黙するネル。
もういい休め、お前はよく戦った。安らかに眠れ。
そしてまた、明日から頑張ろうな。
あ、でもその前にちずさんはお礼言ってけ。礼に始まり礼に終わる。それが人と人との付き合いだ。
dogとどっぐとヴォカロ町!~改造専門店ネルネル・ネルネ出張版⑨~
はーいちびボカロ二人はいりましたー!!
おかげでネルちゃんが逝ったぞどう責任取ってくれる少女たちよ。
こんにちはTurndogです。
そんなわけでルカさんがsold-out。
これからちずさんはかなりあ荘中のルカ廃の部屋を歩き回る旅に出なければなりませんね(にっこり)
ゆかりんsold-out。
ただでさえちっこいのにゆるりーさんさらに小さくする注文与えて来たので多分ちびめーちゃんやちびルカよりも一回りちっこいですww
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