逆咲く誘いが 小径へ伸びて
ただ遠く眺めてた
宵はいま向こう側
稲穂の海へと身を投げた日差しが
乱反射して目を 眩ませても
心は晴れない
狭い世界と丘までを隔てる
金糸で編まれた 檻のようで
少し 怖くなる
夢の世界へと逃げ出す折を
日毎伺えど その先はただ
夜めくばかりで
ときに閃いた端切れの織を
繋ぎ合わせたり こじつけたり
無為に 夏は行くばかり
この身に潜むのが
何者であるかを
知る術もなく 瓦落多は積み重なり
何が寝床を埋めたかも わからぬまま
輝く旅路を夢見て目が覚める
黄金の夜汽車の汽笛が聞こえる
ふと気がつけば 金木犀の香りが
煤けたシューズが 痩せたリュックが
やけに気にかかり
慣れた家路へ 影が伸びる頃には
端切れの秘密も 夢の先も
すべて 分かった気がした
目を伏せば微吹く
稲波の音が何故だか心地よくて
いつしか軌条には 銀色の車輪があり
薫る煙が木々を隔てる
汽笛が聞こえた
輝く切符を握って駆け出して
十四歩目が届く頃には 星が舞い上がる
もしもこのまま 踵を返して
再放送の 時間に間に合って
なんて どっちつかずの思いで
旅に出る僕は不完全な旅人だ
悲しみは向こう側 なんて割り切れないまま車輪は廻りだす
舞い散る葉吹雪の最中
閉まる扉や 戸惑いとの付き合い方とか
今だけしか思えないかな
流れ去る景色に僕は魅せられてしまうだろう
…唐紅の森を拓いて かの海へと届くシグナル 薄翅の国へと至る道
焦燥 狂騒 飢餓 ノスタルジーを偲ばせる大機構や 蹄の跡
雷鳴 薄明のレイライン どうしてもって譲らない商い人!
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