「彼が私を恨んでいますように。」
「私の影すらも呪っていますように。」
この感情に名前を付ける許しが欲しいんだ。
この六畳に名前もないまま息をしている
この手で生活を啜り続けた傷はきっと癒えない
裸足の痴呆
校舎で笑うように仕向けた欺瞞を解いて
もう忘れられないと気付いた。
「彼が優しさを知っていないように。」
「私の救いで目覚めますように。」
「脈動の奥にこびりついた感性も全てを嫌えるように。」
「ヨヒラの花片が散っていますように。」
「君が私を掠めないように。」
この感情に名前を付ける許しが欲しいんだ。
この感情に名前がついたら救われるかもしれない
軽忽な欲情も全部が悟性にしがみついている
私の不道徳を呪っていた秒針の足音が怖くて
もう戻れないと気付いた。
「彼が卑しさを呪っていますように。」
「歌う聲の全部が嘆いていますように。」
白痴の私はまだ奇麗な言葉に頼るしかできないの
「もう虚しさを抱いていないように。」
「どうにか優しさを突き放していますように。」
この劣情に許しを与えて欲しくないから。
「彼が醜さを笑って隠す様に、私の生涯を恨んでいますように。」
「彼が私を愛していたのに、私は彼を殺してしまうのに。」
彼は醜さを笑って許した
「もう終わりにしよう」
「彼の言葉が雪を解かすように、私の生涯を愛していたことを。」
忘れることを許してほしいんだ。
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