「く、殺」
「早、し」
「こ、な」
「ろ―――」
「早く、殺してしまいなさい!」
私は、その聞き慣れた声にハッと現実に引き戻された。
それは、私を引き取ってくれた―今ではただ指示を下すだけのフェアリーゴットマザーだった。
囁く……あの声が。
それは今の私を底なし沼へと引きずり込んでいくには十分な威圧感で。
「さあ……王子を」
―やめて!
「 」
―やめてっ!!
―はっと気付く。それは―とても浅はかで馬鹿な、身分違いの考えだった。
まさか私は……王子に恋心を寄せている?
ここまで拒否してしまうのは―想い人に刃を衝きたてる事に、躊躇っている?
―いや、そんなのは。違う。違うんだ。
―想うだけ無駄なのだから。
孤児集う城、笑み仮面に描いて
私のこの偽りの慈しみさえ―天使は羽で包んでくれるのだろうか。
*
―それでも舞踏曲に合わせて踊る。
互いに視線を交わしながら―時々恥ずかしそうに頬を染めて。
踊り続けるガラスの靴は、赤く溶けて混じり―……。
*
―っ。
今更……変えるなんて事はできない。何故、私は震えているの?
ああ、これでは……私が本当に王子に好意を寄せている見たいじゃないか。
こんなに震えている理由は、すぐに見付かった。
踊り終わった寸前、王子が見遣った時計―
その針が、12時近くを指そうとしていたからだ。
靴を脱ぎそうに熱い想いなのに。
踊っている時に感じた温かみを、見つめた指先は喉まで伸びて。
―こんなの、最初は感じなかったはずなのに。
ああ、心が締め付けられるように痛くて…頬に雫が伝い落ちる。
―駄目だ。こんなの見せたら……っ!
衝動的に伝い落ちていく雫を隠そうとした刹那、
「―大丈夫ですか?」
私のその手を取って、王子は白魚の様な指で涙を掬う。
―お願いやめて。貴方のそんな行動さえ、鼓動を速めてしまうから。
「お相手、有難うございました」
そんな葛藤を知らずに、王子はニコリと微笑みかけて―
ゴーン……ゴーン……ゴーン……
―そして、運命の鐘が、鳴った。―鳴らさないで欲しかった鐘が。
「―え」
―まだ駄目と悲鳴を上げる右手を、頭の中で響くフェアリーゴットマザーの命令が無視して。そして、貴方に跪いた私は―……
ドレスからその細長いナイフを抜き取って―泣き顔を見られないように、静かに彼のわき腹へと―その刃を、刺した。
―ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……!
消せない硝煙を、香水に纏う姫―
どこか物憂げで、しかし他の娘と違う力強い視線は分厚い王子の仮面ごと、その心を打ち抜いた。
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