「ちょっと、ちょっと、おろしてよ! 肩貸すだけで良いんだってば!」
「あーうるさい。あー聞こえない。あー、あーっ」
 聞こえないフリをして、レンはすたすたと歩く。足は次第に速くなっているように思われた。
 文句は言いつつも落とされたりしたらたまらないので、リンのほうも手加減して背中を手で何度かたたくだけにしておいた。
「もっと身の回りに注意しろよな、まったく。ただでさえ変な居候が…」
「レンも居候だよね」
 もっともなリンの考えは、レンが無視する。大体、それを言ったらルカだって居候だ。
「…居候のあのこ、どうするんだろ…」
「来た事情もよくわからないし、俺たちがどうこうすることじゃないだろ」
「でも…。ミキちゃん、でしょ、あのこ?」
「ああ、先生が言ってたのと同じ名前だな」
「そうなの。レンも気づいてたんだ。すごく気になっちゃって。やっぱり、先生に教えてあげたほうが良いのかなぁ?」
「いや、一応俺はあの先生の頼みは断った。それにあのミキとかいうのもわけありらしいし、俺たちが勝手に報告なんてするべきじゃないだろ」
「そう、かな」
「多分な」
 空を仰ぎ見ると、空は灰色の雲がゆっくりと流れていた。
「今夜は雨だよ」
 リンが言った。

 リンが言ったとおり、その日の夜は雨が降った。
 それも、土砂降りである。窓を打ち付ける雨音が、耳障りなほどの雨で、時折雷がごろごろと音を鳴らす。ふと窓の外へ目をやると、窓がひどく雨に打たれ、外の暗い景色がゆがんで見えた。
「すごいあめだねぇ」
「うーん、明日がっこ行くの大変だぞ、これ」
「いやだなぁ、もう」
「俺もいやだなぁ」
「どうして?」
「腕が筋肉痛になる」
「これでも一キロやせたんだからね!」
 とかなんとかいいながら、ぽかぽかとレンを殴る。それを防ぎながら、レンもなんだかんだと反論しながら、しっかり夕飯の手伝いをしている。ある意味プロである。
 準備された夕食は、五人分。リンとレン、メイコとルカ、カイトの分で、後ひとつ、ミキの分が足りない。
「メイコさん、ミキの分は?」
「ああ、それが、部屋から出てこないのよ、今日、あんたたちが学校行ってからずっと」
 ふぅん、と声を上げ、レンはチラッとキッチンに目をやった。お盆の上におかれた料理は、おそらくミキに届けられるのだろう。それにしても、ほぼ一日部屋から出てこないとは、おかしな居候である。
やはり、自分たちには妙なものが付きまとうのかな、とレンは思ったのだった…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

鏡の悪魔Ⅴ 11

こんばんは、リオンです。
ね・む・い・ですね(?)!
体中が不調を訴えてますよ、そりゃあ。
まぶたとまぶたがくっつきそうだ!
後、今回はぜんぜん話が進まなかったです。
ごめんなさい。

閲覧数:239

投稿日:2010/07/13 23:53:45

文字数:1,043文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました