★★ Attention!★★
このお話はryoさんの「ワールドイズマイン」と
あにまさんのアナザーに触発されちゃった感じのお話です。
故にカイミク(寧ろあにミク…?)が苦手な方はご注意を。
そしてあくまでベースにしただけで、妄想部分もいっぱいです。

当然ご本人には全くもって関係ありません。
問題があるようでしたらすぐに削除します。


--------------------------------------------------------


それから、どれくらい経っただろう。
ずっとずっと泣き続けていて、あまり時間の感覚はなくなっていた。

遊園地の奥は遊具も少ないためか人通りもそんなに多くなくて、
自分の嗚咽が止まった頃に聞こえてきたのは
遠くの遊具の音とそれにハシャぐ人たちの声ぐらいだった。

遊園地の中なのに1枚壁が隔ててあるように感じるくらい静かで、
その静寂が、少しだけ私の心を落ち着けてくれていた。



・・・今頃、兄さんは何してるんだろう。

私のことを必死になって探してくれているんだろうか?
それとも、呆れてもう1人で帰ってしまっただろうか?

きっと、後者だ。
こんな自分勝手な子、きっと兄さんは嫌いだから。
多分、怒って帰ってしまったに決まってる。

考えると、胸がズキンと痛んで。
だけどこの胸の痛みを抑える術を、私は知らなかった。


『カイ…ト………』


小さく、兄さんの名前を呟いてみる。
一緒に行くと約束した日の兄さんの笑顔が蘇って、
それが何だか逆に余計私の心を締め付けた。

思わず泣きそうになって、顔を伏せた、その時だった。


―――コツ


誰かの足音が近づいて来て、
私の中に多くの不安と僅かな期待が入り混じって
その足音の主の影が私にかかった。

"もしかして"。

そう思おうとして、近づく足音が1つではないことに気付いた。
期待が落胆に変わると同時に、私は少し身構えた。


「おーじょーうーちゃん。こーんなところで何してるのかなー?」

「良かったら、お兄さんたちとタノシイコトして遊ばない?」


予感は当たっていた。

相手は男の2人組。
俯いているから足元しか見えていないけれど、
決して品が良いとは言えなさそうな感じであることはよくわかった。


『・・・・・・』

「ちょっとー。お嬢ちゃん無視しないでよー」

「そうだよ俺たちも淋しいんだから、一緒に遊ぼうよー」

「こんなとこで1人ってことは迷子かケンカでしょ?ん?」

「・・・あれ?ってか、泣いてる?」

『っ…!!』


2人のうちの1人に触れられそうになって、
私は思わず立ち上がってその勢いで手を振り払った。

バレないように涙を拭いて、
思い切り睨み付けてやったけど男たちは気にするどころか
逆にバカみたいに口笛なんか吹いてハシャぎだした。


「オイオイオイ、ちょっとマジ可愛くね?」

「だよな?!これはマジ上物なんじゃねーの?」


ニヤニヤと品のない笑みを浮かべる2人を、
睨み付けながら私は少しだけ後ずさって距離を取った。
関わるのは危険だと、本能で察知していた。

けれど逆にそれを楽しむように
男たちはニヤニヤしながら一歩ずつ近づいて来て、
私はそこから一定の距離を保ちながらだんだんと後退していった。


「なーなーお嬢ちゃん、良いじゃん俺らと遊ぼうよー」

「どうせ待ってたって迎えなんて来ないぜー?」

「そうそう。だってこーんな辺鄙なところにほっといて平気なような相手なんだろ?」

「お嬢ちゃんことなんてほっといて帰っちゃったって!」

『なっ…!!』


わかっていた。
わかっていたことではあるけど、
こんなやつらに言われたくはなかった。

迎えが来ないことなんて、誰より私がわかっているのに。
兄さんが来るはずがないって、1番わかってるのに。


「ホーラ。俺たちと行こうぜー?」

「ここよりもーっと楽しいとこに連れてってやるからさぁ。な?」

『ちょっ…離してっ……!!』


ズルズルと後退して来たけれど、ついに2人の手が伸びて
拒絶しようとした私の手はあっさりと捕らえられた。

途中まで兄さんが繋いでくれていた手とは違って、
それは何だかとても嫌なものに感じて、私は必死に振り払おうとした。


『イヤっ!離してっ!離してってば!!』

「お嬢ちゃん気が強いねー。でもそーゆとこもマジ俺好み!」

「お前気の強いのタイプだもんなー。しかもこんな可愛い子と来たら…」

「"お持ち帰り"しない手はねーだろ!」

「だよなー!!」


汚らわしい、とすら思った。
こんなヤツらに、そんな手で触れられたくなかった。

誰かに助けてもらいたくて、でも周りには誰も居なくて。
そして私が1番来て欲しい"誰か"は来てくれるわけもなくて、
あんなことをした後でもまだ期待してる自分がバカみたいで。

でも、でも、もしかしたら。

抵抗しながら、心の中で何度も呼んだ。
呼んでも無駄だとわかってても、呼ばずにはいられなかった。


『っ・・・・・・カイト!!』














「―――――呼んだ?」









いるわけが、なかった。
聞こえるわけがなかった。

だって、私はあんなに自分勝手なことをして。
絶対に兄さんはこんな私のことなんか呆れて見捨てたはずで。

だけど、聞こえてきた声は確かに兄さんの声で。
後ろからそっと私を庇ってくれている腕も、兄さんのもので。


『なん、で・・・・・・』


それだけ言うのが精一杯だった。

言いたいことは沢山あったはずなのに、
望んだのも、名前を呼んだのも私なのに、
なのに目の前にいる人物が信じられなかった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【小説】セカイでダレよりオヒメさま vol.3

終わるかと思ったら終わらなかったー!!

ので半分にわけてみました。
vol.4で完結になりまーす。

閲覧数:962

投稿日:2008/06/11 23:38:25

文字数:2,380文字

カテゴリ:その他

クリップボードにコピーしました