嘗て此処に在った
自分と云う概念が
仄暗い視界の端で
形象を失くしたようだ

亡骸に埋め込まれた
螺子巻きの心音が
何時からか響いていた
知らない音で啼いた

醒めないでメランコリア
眩いて呻いて繋いだ呼吸の儘
欠落に気付いていた
足りない世界を誤魔化して仕舞うような

確証の無い今日と
曖昧な真実と
擬態の愛、僕は如何したい?
此の痛みは全部、本物じゃないか!

書き記した空想
其れは心の臓が打つ証明
屹度、誰が誰かも解らない儘に
朽ちて征く日々が怖いのだ

いつか希望も思想も
聲も言葉も失われて
盲従、形象だけ赦された存在
不自由の意味を知らないのだ

造花、ミソロジーの住処
鈍く響く憎悪と
狂った律、烏合の衆
基調を欠いた言語論

虚構のエスノセントリズム
踊る阿呆に賛美を
凋む有象無象の在り処
過去は軈て挿げ替わるだろう

等間隔の心象
機械的に動くような
喜怒哀楽、今は如何だ?
其れすらも知らなかった

逍遥遊、宙を舞った
花弁が奇麗だった
其の感情を書き残す
言葉すらも憶えてないや

錆びて堕ちた幻想
君の温度が今の証明
喝采、厭に響く此の愛憎に
僕達の思考は居ないのだ

暗中、潜んだ燐光
思い出した痛みは滑稽
凝乎(じっ)と見つめる程に歪みは増して
間違いを暈して仕舞うのだ

二律背反の解を選んで
棄てた項目が在った
証明の仕様が無い
此の追憶は余さずに出鱈目だ

黴(かび)た洋墨(インク)で綴った思想は
身体中に纏わって
毎分毎秒、反芻を
落涙の意味を失くさないように

霞む世界に存在証明の
言葉をくれないか

手を伸ばした空中
届かない儘、堕ちて終焉
肯定だけを謳う八釜しの街宣が
意味を殺して仕舞うのだ

始まりと終わりの反転
痛む心臓はただ滑稽
僕が生きた事だけが此処に在って
いつかは其れすらも消えるのだ

君の魅せた憧憬が
美しいと思えたような
彼の日の総てが本物だったかなんて
今更、思い出せないのだ

偽物みたいに笑って
心なんて何処にも無くて
台本通りに生きる此の命が
最高だろう!
最高だろう!

心音は酷く濁った儘
ひとつ、ひとつ、失われた
感情を思い出すように
古びた言葉を綴るのだ

軈て其処に在った
自分と云う概念も
曖昧に霞んで仕舞った
心臓だけが残った

此の場所に僕が在った
証明を書き記した
失われた言葉だった
知らない言葉だった

ライセンス

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  • この作品を改変しないで下さい
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1984/鏡音レン 歌詞

1984/鏡音レン の歌詞です。

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投稿日:2024/04/12 17:50:21

文字数:1,001文字

カテゴリ:歌詞

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