恋(こい)の汀(みぎわ)に 爪先(つめさき)を濡(ぬ)らし
染(し)みていくのは貴方(あなた)の色(いろ)
長(なが)い指(ゆび)に解(ほつ)れて落(お)ちる 藍染(あいぞめ)の帯(おび) 


二人(ふたり) 維(つな)ぐ 糸(いと)を絡(から)め
想い(おもい) 環(めぐ)る 意図(いと)は運命(さだめ)

何(なに)も生(う)まれぬその恋(こい)を 世人(よひと)は何(なん)と呼(よ)ぶでしょう
誰(た)そ彼(かれ)よりも闇(やみ)寄(よ)りの 人(ひと)ですらない恋(こい)なれど
もしか 何(なに)かが生(う)まれたならば 矢張(やは)り人(ひと)ではないのでしょう


本性(ほんじょう)を知(し)りて
尚増(なおま)す想(おも)いは
互(たが)いを殺(ころ)す
刃(やいば)と化(か)す
誰(だれ)も祝(いわ)うことのない 


――嗚呼(ああ)でもそれが何(なん)だと云(い)うの



恋(こい)の涯(みぎわ)に 片頬(かたほほ)を濡(ぬ)らし
死(し)んで逝くのは貴方(あなた)の代(しろ)
永(なが)い夜(よる)に毀(こぼ)れて堕(お)ちる 愛染(あいぜん)の夢(ゆめ)


一人(ひとり) 詠(うた)う 恋(こい)は懇(あから)し
天(そら)に 号(さけ)ぶ 聲(こえ)さえ嗄(か)らし


我(わ)が身(み)を呼(よ)ばう聲(こえ)もなく 最早(もはや)引(ひ)いても応(いら)えなく 
苧環(おだまき)絶(た)えて終夜(よもすがら) 狂(くる)い切(き)れずに高笑(たかわら)う
貴方(あなた)のいないこの世(よ)にありて されど鬼(おに)でもないのでしょう


人なら死(し)ねば
地獄(じごく)へ堕(お)ちる
人でない身(み)は
何処(いづこ)へ逝(ゆ)くのか
まして鬼(おに)にも生(な)れぬもの


――嗚呼(ああ)でもそれが何(なん)だと云(い)うの

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  • 非営利目的に限ります

苧環~をだまき~

異類婚姻譚、異種同士の恋 がモチーフです。


苧環神話、三輪山縁起とはまたちょっと違いますが
長く深く想い続けた末には、人も鬼も何にか変じるのではないかしら。

閲覧数:196

投稿日:2009/11/12 20:00:55

文字数:796文字

カテゴリ:歌詞

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